6、試練~彼の場合 5~
六話目です。
6、試練〜彼の場合 5〜
トリスさんが来てから、半月後。
外視鏡の様子。
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「どう考えても、トリスが居ないのはおかしい。お前達!何かトリスから相談とか受けていないか?」
遂に、痺れを切らせてアリさんは、トリスさんの『行き先』よりも『目的』を重点を置いて、調査を開始し出した。
「自分、相談を受けたッスよ。」
熊の着ぐるみに身を包んだ、エステルさんが、あっさりと答える。
「何故直ぐに言わんのだ!」
熊の着ぐるみの胸ぐらを掴んで、アリさんはエステルさんに詰問する。
「教会の懺悔室内の話ッスからね。職務的に、守秘義務があるッスからね。」
小首を傾げながら答えるエステルさん。
「どんな話をしたんだっ!話せる部分だけでいいから教えろ!いや、教えてくれ!」
アリさんの熱意におされて、エステルさんが情報を教えた。
「休眠するから、寝場所を探してるって言ってたッスよ。自分たちとしては、教会を選んで欲しかったンスけど、生憎断られてしまったンスよ。」
やれやれ、という様に、首を振りながら、彼女は言った。
「なっ…!?そんな重要情報、何故話さんのだ!」
「だって聞かれなかったッスからね。」
飄々と、エステルさんが答えた。
「エステル貴様っ!…まぁいい。今はトリスの事が先だっ!」
「そういえば、[自分の道を見つけた]と報告に来たな。」
グリーンヒル先生が手を挙げる。
「自分の道を見つけた?トリスが、か?」
「応。良い決意だったぞ?一人旅をするんだと。」
「わかった。情報提供に感謝する。」
バタン。
と勢い良くアリさんは研究室を出て行った。
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