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3、試練~彼と彼女の場合 2~
三話目です。
3、試練〜彼と彼女の場合 2〜
それから、度々僕は、外視鏡を覗いてみた。
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アリさんは、惨敗続きだった。
その間にも、クレアさんや、トリスさんの義弟のギルデンスさんが、何かにつけて、アリさんに自分の想いを自覚させようと躍起になっていた。
だが、アリさんは、応じようとしなかった。
独りになったアリさんは、悩みを口に出していた。
「…私がトリスを好きだったとして、散々アイツに『妹』だと告げ続けて来たんだぞ?今さらどの面下げて好きだと告げるって言うんだ。アイツが受け入れるわけ無いじゃないか。」
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余りの頑なさに、僕は頭痛を覚えた。
トリスさんの技能習得を指導しながら、僕は憐れみの情を禁じ得なかった。
でも、そんな事態を知らないトリスさんは。
健気に、直向きに、未来を見据えて、頑張っていた。
そんな彼女に、彼の現状を伝えるのは、あまりにも残酷な気がした。