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トリスの日記帳。  作者: 春生まれの秋。
帰路~セリカ~
58/151

4  帰路~セリカにて.3~

短めです。


4、セリカにて 3






 アリ君の提案で、この国の武術、と言うものを見て回る事にした、私達は、セリカの首都である、西安(シーアン)に向かっていた。

 道中、馬車に揺られながら、私は、遥かハイルランドにいらっしゃる、恩師、グリーンヒル先生に、報告の手紙を書いていた。


『…そんな訳で、セリカに居ます。猫手飯店のコロンさんの紹介で、神拳寺という所へ向かおうと思います。それでは、また連絡します。

トリスティーファ・ラスティンより』



「よし、書けました!後はポストに投函ですね♪」







 さて、この世界には、『郵政局ギルド』という機関がある。この組織は、職員が持つ、速さに特化した使い魔(エルス)を使い、人や物、郵便物等を届けてくれる所である。

 速度に応じて料金は変わるが、個人や届け場所の指定さえあれば、間違えなく届けてくれる。

 尚、この組織は、創始者の意向により、どの国、どの組織にも属さず、独立独歩である事を信念に掲げており、創始者の使い魔(エルス)の名にあやかり、通称『ミールック便』と呼ばれている。

 そのミールックであるが、半径凡そ400キロメートルのハイルランドを20秒で飛翔するとも謂われる、鶏型のエルスである。

 勿論、これ程速いエルスはそうはいないので、ミールックを指名すると、それだけで、1クラウンは平気で掛かる。 速さに拘らず、定期便に依頼すると、50ペニーほどで距離に関係無く届けてくれるのだが。




 私は、セリカにも当然の様に設置されていた、ミールック便のポストに、これまでの経緯を綴った手紙を投函した。心配してくださっているであろう先生を安心させたいので、費用は奮発して、5フローリンの便にした。本当は、もっと早くに連絡をしたかったのだが、如何せん、前人未到の地を旅してきたので、ポストが無かったのである。




 ついでなので、この世界の通貨について触れておこうと思う。基本的に、全世界共通で、最小単位が1ペニー銅貨、100ペニーで1フローリン銀貨、100フローリンで1クラウン金貨という扱いになる。農村部の一般的な一家が暮らしていくのに必要なお金が、大体20フローリンくらいである。

 冒険者は、魔物討伐等の依頼を受け、資産を増やしたりして生計を立てている。




 それはさておき。


「やっと、グリーンヒル先生に連絡ができましたよ♪アリ君!」


 ニコニコしながら、アリ君に告げると、彼は、


「そうだな。お前、卒業の為にもレポート提出も必要だもんな。」


と、わしゃわしゃと私の頭を撫でた。完全に『妹』扱いである。否、更に


「報連相を忘れなかったのは偉いな。」


と、続いたので、尚悪い、完璧なる子供扱いである。



…アリ君、私は、元服も済んだ社交界デビューも終えた、レディ、なのですよ?…




 内心、憮然としながらも、馬車に揺られ続けていると。


バシュン!


と、上空で音がして、バサバサと舞い降りてくる影があった。


「すいませ〜ん。トリスティーファ・ラスティンさんはこちらですか?」


 件のミールック便である。


「はい!私です。」



「すみませんねぇ。お手紙です。受領のサインをお願いします。」



「はい、分かりました。」



 そうして受け取った手紙は、懐かしい、グリーンヒル先生からの速達だった。




 そこに綴られていたのは、グリーンヒル先生からの激励と、私達が無事だった事への安堵、そして、神拳寺にいらっしゃる先生の奥様についての情報だった。


 私は、手紙を何度も読み返した。


 何故ならば。独身だろうと思い込んでいた狼鷲人のグリーンヒル先生が、既婚で、かつ、その相手が、コロンさんに紹介された武術の達人、桃李小(とうりしょう)老師※先生、の意※だったからである。


「カイル君、アリ君、これ、読んでくださいよ。偶然とは、凄いのですね。これは、何かに導かれているのでしょうか。『縁』を感じます。」



「確かに、これは驚きだぜ!行くしかねぇな!神拳寺!」



「いやむしろ、私としては、グリーンヒルが既婚なのが驚きだがな。」




 長い馬車での移動中、そんな話題で暇を潰す一行だった。





という訳で、世界を股にかける郵政局ギルドことミールック便の紹介でした。


因みに、お金の価値ですが、

・1ペニー=100円

・1フローリン=1万円

・1クラウン=100万円

くらいの感覚です。



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