表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリスの日記帳。  作者: 春生まれの秋。
放浪の始まり
41/151

8 放浪|(たび)の始まり~光の巨人の伝説4~

4.光の巨人の伝説4






 ジリジリと刺すような殺気が肌を焼く。

 ベリアルの周りに群がる狼達が、此方に飛び掛かってくる。

 それを、私は浮かせた魔剣で凪ぎ払い、ベリアルとの障害物を取り除く。

 だが、此方の動きを見越してか、ベリアルは、狼を隠れ蓑にして接敵してきた。

 ベリアルの強力な一撃が、私達の集団を襲う。

 カイル君が、私とベリアルの間に割って入る。


「やるじゃねぇか、小僧。」



「好きな子護ってこその、漢だろ?」



「気に入ったぜ?小僧。名前は?」



「別に気に入られたくは無いけどな。カイル・オニッツだ。」



 小声でそんな事をしゃべたているとはいざ知らず。

 私は、庇ってくれたカイル君に感謝しつつ、ベリアルを手数で押して行く。


 それでも、相手に攻撃させてはいけない、という本能的な危機感が私を苛み、許さない。

 おねえ様の後押しを受けて、更に斬り込む。


 クレアータ特有の速さを使い、どんどん斬り込む。

 だが、ベリアルも速かった。

 同じように、スピードアップし、対応してくる。

 私は、已む無く一度止まる事にした。


 急に斬り込むの止めたが、それをも見計らって、ベリアルは更なる攻撃を加えてきた。

 カイル君が、又も、その身で庇ってくれた。しかも、カウンターでの反撃付きだった。

 カイル君の反撃は凄まじく、壁をも削り、穴を穿った。


「ぐわぁっ!」


 ベリアルは、カイル君の反撃に吹き飛んだ。そして、カイル君の穿った穴へと落ちていった。



ドプン。



と、重いものが水面に沈む音がした。

 急いで確認に向かったが、ベリアルの姿はそこには無く、キラキラと輝く《神々の欠片》が空へと昇って行くのが見えた。

 後にはただ、深く、暗い地底湖が、その水面を揺らめかせているのだった。




 何はともあれ、私達は、魔神ベリアルを、倒せたのだ。

 だが、喜んでばかりもいられない。

 何故なら、度重なるベリアルの攻撃を、極限まで耐えた、カイル君の身体は、満身創痍だったのだ。

 マリウス君が急いでカイル君の手当をする。神官のみ伝わる秘薬エリクシールを使い、何とかカイル君は一命をとりとめた。




 こうして、無事に光の巨人を祀っている集落へ戻ることが出来た私達。

 周辺の平穏を取り戻した事を報告し、その日は祝宴となった。

 私は、ジュラ君とヴィスさんに報告をしようと捜したが、人混みに紛れてしまったからか、彼らの姿は見えなかった。

 それどころか、誰に聞いても、彼らの事を覚えている人は居なかった。

 不思議な事は続く。

 光の巨人様像が、姿を消したのである。

それについて、面白い話を聞いた。

 何でも、この先には、更に北へ向かうための唯一の道がある。その道は、黄泉に続く洞窟となり、光の巨人様像が無くなった時には、決して近付いてはいけない、と伝承に残っているそうなのである。





 おねえ様の魔導書は告げる。

 私達の行くべき先を。


 それは勿論、この話題に上った、件の洞窟を指し示しているのであった。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ