表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリスの日記帳。  作者: 春生まれの秋。
『アルゴス』さんへ
139/151

21、『アルゴス』さんへ~幽世(かくりよ)第10階層 1

お久しぶりです。

短いのですが、どうぞよろしくお願いします。

21、『アルゴス』さんへ~幽世かくりよ第10階層 1








ナビ子が消え、けたたましい警報音が止まった後、荒野に立ち尽くす私達に近づく疎らな人影があった。

恐らく支配者ルーラーだと思われるナビ子によって操られているであろう、罪なき人々を虐殺するのは、私の良心の望む処では無い。それが正当防衛だったとしても。

だから、私達は、人々から逃げる様にして、荒野を駆けた。




****************


人々から逃れ、荒廃した大地の裂け目に身を隠しながら、私は考える。

自分の持ち得る手段と、有効な活用法について。

まず、私は、『時間と時空と次元を自在に行き来できる特別な列車のチケット』を3枚持っている。アリ君と共に、かつて行った冒険の報酬だったのだが、詳細については、今は語らない。いや、『語れない』と言った方が正しいのかも知れないが。もし、機会があれば、いつか話したいと思う。

次に、私の武器は、沢山ある。その中でも、銘の在るものの代表が3つ。次元を裂ける霊剣・『アストラル』。黄金外套王ラインハルトの転生者の証『名も無き王の剣』(ナーズィル・イェーガー)。旅行鞄の形をした記憶媒体装置『パンドラ』。この内、霊剣・『アストラル』と『パンドラ』は、私の《神々の欠片》(ピース)の一部である《魔器》でもあり、意志を通わす事が出来る。


現在の状況を考えると、ナビ子は、完全なる敵であり、これから先の道程は、大ボスクラスの死闘の連続になるに違い無い。


だとするならば。


私は、そろそろ保険を掛ける時期なのかも知れない。

後退する意志が無い以上、戦いは激化するのだ。


決意を固めると、私は、手早く手紙をしたためた。

これからの事を、に託す為に。




それから私は、おもむろにパンドラを地面に下ろした。次に、パンドラに手を翳し、幾つかの操作をした。そして、彼女に話し掛ける。


「起きなさい、『パンドラ』。」


すると、パンドラはぽわんぽわんと光を溢しながら、その姿を幼女の姿へと変えた。稼働時間を反映して、3歳くらいの姿をしている。すっと目を開いた彼女は、私のイメージした通りに、私とアリ君の姿を模していた。


これなら、大丈夫だろう。


私は、彼女の両肩に手を乗せ、目を合わせながら、彼女に語り掛けた。


「いい。【パンドラ】。私は、これから、あなたを、アリ君、アリス・トートスの元へと送ります。彼は、私のツガイよ。この意味、分かるわね?…私はあなたに、運命を託します。あなたの記憶等には、プロテクトを掛けておきます。必要な時には、あなたの記憶が開放される様にしてあるわ。…あなたの経験が、いずれ私を、皆を助けてくれるはずよ。だから、彼の下で、安心して色々学んで来なさい。行っておいで。」




ぎゅっとパンドラを抱き締めて、


「私のツガイに宜しくね。」


と囁き、私は、2枚のチケットと、手紙、それから、身分証の代わりに、『名も無き王の剣』(ナーズィル・イェーガー)を持たせ、彼女を例の列車に乗せた。



****************


「良かったのか?アイツはお前の、一番手に馴染んだ武器なんだろう?」


一連の私の行動を見守っていた、

ルミラさんとダンテさんが、心配そうに此方を見ていた。


「だからこそ、ですよ。武器性能に頼ってたら、目的地まで行く覚悟を見せられ無いでしょう?それに。一番辛い時に、好きな男に良いトコ見せたいじゃないですか。」



晴れやかな心で、私は彼等に向き合った。




「さぁ。準備も出来ましたし、迎え打ちましょうか。ナビ子と、この幽世かくりよ支配者ルーラーを倒しに!」








ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ