幕間:ここから始まる物語。
幕間:ここから始まる物語。
目を覚ますと、私はアリ君の腕の中に居た。
私は気を失い、アリ君によって手配された船に乗り、ハイルランドに戻る途中で目を覚ました様だ。
「アリ君が居ます…。夢でしょうか?」
「馬鹿か貴様は!夢な訳がなかろうが。あんだけ苦労して探し当てたのに、夢落ちなんて、どんな悪夢だ。安心しろ。ちゃんと、私はここに居る。」
両手で容赦なく頬っぺたを挟まれた。
「というか、この体勢は一体?」
「今からハイルランドに帰るんだよ。気を失ってるお前をベッドに寝せようとしたら、ようやくお前が目覚めたんだ。」
私の頭を撫で撫でしながら、アリ君は告げる。
「成る程。私の想いは、アリ君に通じましたか?」
状況を把握して、確認する。
「ああ。今更かも知れんがな。私にも、お前が必要なんだ。」
「分かりました。また、タッグを組んで、冒険しましょうね?仲間、ですものね。」
両想いだとうっかり気付かず漏らした言葉に。
「阿呆。仲間以上だ。私は、女性として、お前が好きだからな?通じたか?」
アリ君は止めを刺してくれた。
ぼんっと一気に顔が赤くなるのが分かる。
…私は、幸せです。
さぁ、新しい未来の夢を描きましょう。
こうして、自分を肯定出来ない、消滅願望の強い少女は、大切な宝物を手にした。
それは、何処にでもあって、誰もが手に出来る、それぞれの大切なモノ。
一つとして同じモノは無く、けれども、どんな人にでも、等しく手にしているモノ。
彼女から、消滅願望は未だに消えてはいないけれども。
繋がる『何か』を手にしたからこそ。
彼女の旅は、まだまだ続くのだ。
お楽しみ頂けたでしょうか?
恋愛パートに移るまでのながいながい前書きでした。
彼と彼女のラブラブが書きたくて頑張って来ました。
でも、今後は、もっと明確な冒険活劇へと移行していく予定です。
次回更新迄、暫く時間が掛かると思います、
お待ちいただけると、幸いです。
ご意見、ご感想等ありましたら、お寄せ頂けると、嬉しく思います。
ありがとうございました。