08.とりあえず励むことにしました。
レベッカ様がお帰りになられてからのお母様のテンションは、ものすごく高かった・・・・・・。
なぜ、そんなに高いのですか、と思いながらも、ひとまず粉まみれの体を清めることからすることにした。
アンにぶつくさと言われていたような気がするが、この際無視するとして、体を清め終わり、さて、何をしようかと思う。
「まずは走り込みからかしら」
ぽつりとつぶやいた言葉に、アンが悲鳴を上げたが、きこえなーい。
動きやすい服を見繕う為に、困ったときのリズのもとへと走った。
「リーズー!!」
すぐさま姿を見つけたリズへと向かい声を上げつつタックルをかます勢いで突っ込んでいく。
もちろん、できる家令のリズは私のタックルもどきを上手に受け止め、ストンと廊下へとおろされた。
「お嬢様、どうされましたか?」
「あのね、体力づくりをしようと思いますの!」
「――――――あぁ、先ほどのレベッカ様との会話ですね」
先ほどのレベッカ様との会話を思い出しつつそういったリズは、「そうですねぇ」と小さくこぼし、
「ひとまず体力作りは横へ置いておくとして」
「えー」
「お嬢様には先に学んでいただきたいことが山とありますので、そちらを先にお願いいたします」
というと、リズは私の手を引きお母様のいらっしゃる私室へと連れて行った。
「なぜお母様のもとへ行くの?」
「奥様が一番、その道にお詳しいからですよ」
「お母様って戦えるのですか?」
のほほんとして、おっとりとしているどちらかというと、お裁縫や手芸がお得意な感じがするのに、意外です。なんて思いっていれば、リズは笑った。
「戦闘に関しては、護身術程度には、とお聞きしております。お嬢様に学んでいただきたいのはそれ以外のことですよ」
「それ以外のこと??」
「詳しくは奥様に聞かれてください」
そういい、いつのまにかたどり着いたお母様の私室のドアをノックしていた。
「どなた?」
室内から聞こえてくるお母様の声に、リズは「お嬢様をお連れしました」と短く言った。
「どうぞ、お入りになって」
カチャリと音を立て、ドアを開けるとリズに促されながら私はお母様の私室へと入った。
ここは、お母様の個人的なものが置かれてある部屋で、たくさんの本が置かれてあった。
滅多に入ることのないお母様のお部屋に、おもわず本の多さに「わぁ・・・・・・」と声がこぼれてしまった。
「奥様、お嬢様が外へと飛び出される前にいくつか勉学をするためのものをお貸し願えませんか」
「―――――そうねぇ・・・・・・まずは、薬草学から行きましょうか」
と、お母様はにっこりと笑い、ソファーから立ち上がると部屋の奥の方にあった本棚の一番上の棚から一冊の分厚い本をとり、私の目の前へと持ってきました。
「―――――――――――」
あまりの分厚い本に、言葉が出てこなくなっていると、お母様はそんなことなどお構いなしに「はい」と私の手をあげさせ、その手の中へと本を下ろした。
瞬間、ずっしりとした重みが私の両手へと襲ってきた。
「そうねぇ、まだまだ学ぶことはたくさんあるから、一瞬間で覚えましょうか」
にっこりとお母様は言った。
「――――――――――え・・・・・・?」
「一週間ね」
「あ、はい・・・・・・」
拒否権はないらしい。ていうか、6歳児にこの分厚い本って・・・・・・いいの!?一週間ってっ!?
仕方なくお母様の私室から出て、自室へと戻る。
手にしていた本を机の上に置くと、ドスンといい音がした。
「一週間・・・・・・」
目の前の本を見下ろしため息をつく。
これを一週間なのか・・・・・・これを・・・・・・。
ひとまず、そうね、えぇ、そうだわ。本を目の前にして、無駄な時間なんて、一秒だってないんだから、そうね、ひとまず、読むしかないわね・・・・・・。
読んだだけで覚えるような優秀な脳みそはしてないから、メモとペンと・・・・・・なんて、考え込んでいれば、一緒に部屋まで来ていたリズが、机の上に紙とペンを置いてくれた。
さすが我が家の家令。気が利くわね。
さてと、今日から一週間ね。がんばってお母様を倒さなくっちゃ!!




