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バディ!  作者: 雷電
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プロローグ あの日

前の小説がどん詰まりの状況なので、息抜きがてら書き上げました。文中の設定などに誤りなどありましたらぜひコメントよろしくお願いしますm(_ _)m

201X年、夏。


その日は、少し涼しい1日だった。

盆休みも終わり、再び首都東京に活気が戻っていた。

先週まで殺人的な熱を帯び、日本をサウナ化させていた太平洋高気圧の勢力が盆付近に近畿地方を襲った台風上陸以降弱体化、変わって秋の空気が日本列島を支配している。近年増えた事だ。珍しくともなんともないし、旧暦では秋の始まりは8月の上旬なので、意外とこれが正しかったりする。

久しぶりの行楽日和(と言っても、夏の凶暴な太陽は健在であり、やはり日向になると汗が吹き出す。それでも空気は乾いるので幾分過ごしやすい)に、東京は多くの人でごった返していた。



「兄ちゃん、あそこ行こーよー」

新宿区、東京都庁前。

ここにも、涼夏の東京観光と洒落込んだ家族がいた。

「あぁ?行くもんか。あそこはなー東京のおエライさんの家だぞ」

せっかくのアニメ一挙放送日にノリノリの家族に引きずられるように外に出たため、不機嫌であった大間匠は弟の旭の言葉に耳を傾けつつもテキトーにあしらった。

「馬鹿だねー、都庁には最高階に展望台があるんだよ?第1あそこに知事は住んでません。何言ってんだかバカ匠は」

隣でため息混じりに罵ったのは3つ離れた歳の姉、美玖だ。

「うるせぇブス姉貴!」

「何だってぇ!? あんたこそ一時したら禿げるかもよ!!」

タダでさえ機嫌が横倒しになりそうなほど傾いていた匠。

反りの合わない美玖に暴言を吐いたもんだからたまったものではない。当然、美玖も反撃してきた。

「姉貴がバカじゃないか、俺はまだ中学二年。禿げるのはとーてい先の事。姉貴のブスは生まれつきなんですぅー」

「生まれつきィ―――!? あんたここが街ん中じゃなかったらなぶり殺しにするわよ!?」「へ、返り討ちにあうのがオチのくせに」

「あんた後でブッコロス」「殺せるもんならな!!」

どんどんエスカレートしていく姉弟ゲンカ、しかし、2人のポケットに入っていたスマホの振動で一旦休戦となる。

「あ、母さんからだ........」

「ほんとだ」

開けてみると、家族でやり取りするLINEグループにこう一言。


《美玖と匠、いつまでケンカしてんの。旭と都庁の展望台行ってきます。下で待ってて。40分ほどで戻ってきます。母》


「「えええええ!!」」


さすがは姉弟、発した言葉も考えている事もシンクロしていた。

((なんでコイツと―――――!!?))


ガックリ肩を落とす美玖。


「なんでブス女と一緒にいなきゃ行けないんだよ」

悪態をつく匠に対し、

「仕方ないね、待つしかないよ」

さすがは姉、美玖。こちらが大人だ。先程までは中学2年の弟と同レベルの争いを繰り広げてはいたが。

「暑いし、ここに突っ立てるのもなんだからそこら辺のカフェでも入ろうか」

「....同感」

いくら平年よりも気温が低いとはいえ、日向にいればやはり暑い。仕方なく2人は近くのチェーンカフェへと向かった。

その時、黒スーツの集団が大きなバックを片手に都庁へ入っていくのを匠は見たが、都庁の人間だろうと思った。

しばらく歩き、オアシスへ到着した。

中はとても涼しい。先ほどまでいた外が灼熱地獄に思えてきた。

奥の方が空いている。壁側の席を陣取った。

「私はアイスコーヒーで」

「俺も同じです」

かしこまりました、と店員は言うと素早くカウンターにむかった。

「あんたさぁ、どうすんの?進路」

「うーん、一応開成目指してるんだけど何とも」

「ウソつけ、余裕で入れるってあーちゃんから聞いてるわよ」

「あいつ....」

あーちゃん、っと言うのは匠の同級生であり幼馴染みの小野寺麻美である。可愛い顔しやがって実はやんちゃな一面もあるやつだ。

「開成に無理してせんでも、地元の高校がいいんじゃない?」

「そうだね....」

と、言葉を濁した。


その時、


ドォォーーーン!!


凄まじい爆発音が、カフェの奥まで響いた。

間を置かずもう1発。

窓がビリビリと音を立て震える。

「どうしたの!? 花火?」

「花火なわけあるか!!今は昼だぞ!?」

急いで窓際によった2人。爆発音がした方向を向くと、


「何あれ....」


凄まじい黒煙が、2本、新宿駅方面に立ち上っていた。

「姉ちゃん、なんかやばない?」

「うん、母さんに連絡」

と、美玖がスマホを取り出した時、耳をつんざく様な大音響が響いた。

窓が先程よりも強く震える。会計を済ませ、慌てて外に出る。

「どこ?」

探していると....

「匠、都庁が....」

都庁へ顔を向けると、


上層階が黒煙に包まれていた。

そして、また爆発。


あそこには、


「かぁさーーーーん!! とぉさーーん!! あさひぃーー!!」

彼ら姉弟の両親と末っ子がいた。



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