反転
僕は何故だか知っていた。
自分に終わりが来ることを。
欲に塗れた煩悩で、
強い気持ちを蹴落として、
不相応な席に居る、
そんな僕が終わる時。
残る選択は一つだけ。
最期に対する異議はない。
僕はすべてを受け入れよう。
来る変化は一瞬で、
僕を闇から引き上げた。
感覚全てが明転し、
僕は一歩を踏み出した。
「居なくならないで欲しい」なんて、
誰もくれなかったもの。
どうしてあなたは簡単に、
僕を満たしてくれるのか。
僕の居場所は定まった。
僕の価値も定まった。
あなたがあの時居なければ、
僕の終わりはそこにあった。
ありがとう、僕を救ってくれて。
ありがとう、僕を必要としてくれて。
ありがとう、隣に居てくれて。