第7話『始まりのダンジョン』
「にしても驚いたな。……本当に卓人なんだよな?」
「だからさっきからそう言ってるだろうが」
あれから自分の身長が150cmにも満たない事に目が飛び出る程驚いた俺は、取り合えず既にログインしていた翔大にヘッドギアの機能の一つである普通の電話を使って連絡をとり、元の身長(178.3cm)との差が激しすぎることで非常に歩き辛い身体を引きづりながも、翔大と合流をはたしたのだった。
最初は俺だと信じてもらえず大変だったが、痒いの痒いの飛んで行けを話題に出すと、「お前……卓人かッ」と驚きながらも信じてくれた。なんか釈然としねぇ……。
まあ、それはともかく。
俺と翔大は〈 始まりの街メイラード 〉から出て、〈 始まりのダンジョン 〉の一つである〈 始まりの洞窟 〉に行く事にした。
〈 始まりのダンジョン 〉とは、〈始まりの草原〉〈始まりの平原〉〈始まりの森林〉〈始まりの洞窟〉、の四つのチュートリアルダンジョンの総称だ。
チュートリアルダンジョンとは、その名の通り練習用のダンジョンのことだ。
まだ操作が慣れないプレイヤーの為に、様々な基本的戦闘を経験できるダンジョンである。
ちなみに、四つのチュートリアルダンジョンには特徴があり、
〈 始まりの草原 〉は特に特徴的なステータスがないモンスターが出てくる、基本的な闘い方を学べるダンジョン。
〈 始まりの平原 〉は防御力が乏しい代わりに、攻撃力が高く攻撃速度が速いモンスターが出てくる、すばしっこいモンスターとの闘い方を学べるダンジョン。
〈 始まりの森林 〉は魔法攻撃をしてくるモンスターが出てくる、魔法に関しての闘い方を学べるダンジョン。
〈 始まりの洞窟 〉は攻撃力と攻撃速度が遅い代わりに、防御力が高いモンスターが出てくる、高防御力のモンスターとの闘い方を学べるダンジョン。
となっている。
ついでに何故俺達が今から〈始まりの洞窟〉に行くのかというと、もう既に〈始まりの草原〉や〈始まりの平原〉には我先にと先陣を切ったプレイヤーでいっぱいだからだ。そして、
「モンスターのリポップ時間が何分位かかるのかまだ分からないし、人が多いダンジョンに行っても無意味になる。という事でまだ行っている人数が少なそうな〈 始まりの森林 〉か〈 始まりの洞窟 〉のどちらかに行くべきなんだが……、ぶっちゃけお前も俺もメインが魔法に関する職業じゃないから森林はパス。洞窟に行こう」
という翔大の判断で俺達は〈 始まりの洞窟 〉に行く事となった。
「なあ、翔大……じゃなかったアネハ」
「なんだクロ?」
「お前のステータス見せてくれないか?」
この街から出る為には、北、東、南、西にそれぞれ一個づつある門を通らなければならず、俺と翔大は〈 始まりの洞窟 〉に比較的近い南門に向かっていたのだが、ふと先程の発言でまだ翔大がどんなアバターにしたのかを聞いない事に思いだし、そう質問する
翔大は二つ返事で了承した。
「良いぜ、そのかわりお前のも見せてくれよ?」
俺は翔大のその質問に「勿論良いぞ」と返した後に、早速二人のステータス情報を交換し、見比べ合った。
・name : 【 アネハ 】 Lv.1
・race : 【 人族 】
・職業 : main【 戦士 】 sub【 魔法士 】
・ステータス
生命力【 100 】
攻撃力【 17 】(+7)
防御力【 11 】(+1)
魔法力【 12 】(+2)
魔防力【 12 】(+1)
器用値【 10 】
素早さ【 10 】
・weapon【初心者の斧】(STR+3)
・Passive Skill :【筋力増加[微]】Lv1(STR+2)【未成熟】【戦士の心得】(STR+2 DEF+1)【魔力の心得】(INT+2 RES+1 )
・Active Skill : 【ステップ】Lv1【スラッシュ】Lv1
・称号 : ー
人族でメインが戦士、サブが魔法士か。
俺と同じように【ステップ】を選択しているのは流石と言うべきかもしれない。
ついでに俺はゲームの中ではまだ見ていなかった自分のステータスを見てみる。
・name : 【 クロ 】 Lv.1
・race : 【 亜人族 】
・職業 : main【 短剣使い 】 sub【 盗賊 】
・ステータス
生命力【 30 】
攻撃力【 24 】(+4)
防御力【 3 】
魔法力【 3 】
魔防力【 3 】
器用値【 5 】(+2)
素早さ【 23 】(+3)
・weapon初心者の短刀(STR+2 SPD1)
・Passive Skill : 【気配遮断[微]】Lv1【亜劣】【短刀の心得】(STR2+1 SPD+1)【盗人の心得】(DEX+2 SPD+1)
・Active Skill : 【ステップ】Lv1 【スラッシュ】Lv1
・称号 : ー
いや、ピーキー過ぎるだろ……。