第5話『アバター作製チュートリアル②』
職業を選択したことでまた次のチュートリアルが始まった。
《アバター制作チュートリアル、その四 [ Passive Skill ]。
パッシブスキル(以降PS)とは、一部の例外を除き体力や魔力を消費せず常に発動し続けることで、様々な場面でプレイヤーをサポートするノーマルスキルです。
ノーマルスキルとは、各種族・職業でしか得られない種族スキル・職業スキル。イベントやクエストでしか手に入れる事が出来ない報酬スキル・イベントスキル。といった特殊な条件下でしか得れないスキルを除いた、Skill Point(以降SP)を消費する変わりに誰でも取得できるスキルの総称です。
なお、アバター制作時に選択できるノーマルスキルは、初回限定でSPが無料となっております。》
初回限定で無料だとぉ……、とても素敵じゃないか!
なんてことを考えながら、スキル一覧に並んでいるPSを物色していく。が、特にコレだ!っていうスキルが見つからず、取り合えず無難なものを選択する。
・Passive Skill : ( 気配遮断[微])
《アバター制作チュートリアル、その五 [ Active Skill ]。
アクティブスキル(以降AS)とは、任意のタイミングで発動することにより、様々な場面でプレイヤーの行動をサポートするノーマルスキルです。
なお、発動後の効果はスキルによって異なっており、その持続時間もスキルによって異なります。
また、ASにはPSにはない、リキャストタイムというものがあります。
リキャストタイムとは、スキルを使用してから、もう一度同じスキルを使う為に必要な時間のことです。
なお、アバター制作時に選択できるノーマルスキルは、初回限定でSPが無料となっております。》
ほうほう。PSもASもどちらもノーマルスキルに区分されるモノがあるということか。
そう納得しながらPSと同様にスキル一覧から、攻撃力強化か素早さ強化関連のスキルを探す。
ふむ……【筋力強化】発動時対称のSTRを+10%する (持続時間30秒/RT:5分)と、【脚力強化】発動時対称のSPDを+10%する(持続時間30秒/RT:5分)。
どちらもなんかパッとしないなぁ……。
そんな事を思っていた俺は、あるスキルを発見する。
【ステップ】発動時現在地から前方へ1m高速移動を行う (固定 / RT:1分 )
VRMMORPGでは定番であり、お約束のステップ!
これは取らねば。そんなよく分からない(強いて言えばその場のノリ)で俺は最後の項目を決定する。
・Active Skill : ( ステップ )
《以上でアバター制作チュートリアルは終了します。》
やっと終わった……。
アバター作成とかステータス操作とかは好きなんだが、それよりも速く本編を始めたいという気持ちが勝って全然身に入らなかったよ。
そんな事を考えいた俺の目の前に『ポンッ』と音をたてながら、新たなホロウィンドウが生まれる。
いきなり表れたことに驚きつつも、俺はその内容を見る。
「うげ」
そこには数百から数千位の大量の文字がならんでいた。
別に0と1だけがならんでいる訳でも、変な言葉の羅列だった訳でもなく、書かれているのは普通の日本語だった。
だが、よく分からない法令番号や『仮想現実取締法』や『身体への影響及び危害について』等々、堅っくるしい言葉がずらずらと並んでいて、最後に[同意する] [同意しない]という単語が続いていた。
恐らくだが利用規約だろう。
俺はそんな安直な考えで、内容もろくに見ずに[同意する]をタップする。
ーー本来利用規約は飛ばし読みしてはいけないものであり、また思い込みと勘違いはとても恐ろしい結果を招く原因である。
俺は後にこの時の自分の言動を省みて、そう嘆くことになるのだが、この時の俺には知る由もなかった。