それでもお前ら王様と姫か!
登場人物
勇者:魔王を倒すために人を集めて今日も修行。本当は酒好きだが必死に押し堪えてる。
王様:この国を統治する王。偉い。
姫:王様の子供。心優しき姫。モンスターに襲われる村の話を聞くたびに心を痛めている。
勇者は城にやってきた。王様への謁見を許されたのだ。
王「おお、そなたが勇者か!」
勇「その通りです、王様」
王「表を上げよ」
勇者の眼前に居たのはいかにも高そうなスーツを着た髭を蓄えた50過ぎの男性だった。
勇「!?王様?そ、その服は?」
王「ああ、これか?これは以前やってきた異国の民より授かった品で、スーツというらしい。彼に会ってから随分と考え方が変わったよ」
勇者は混乱している。
王「君に任せたい案件がある」
勇「案件」
王「君にはわが社の一大プロジェクトである魔王討伐プロジェクトを任せたい」
勇「わが社、プロジェクト」
王「成功すればわが社に莫大な利益がもたらされる。概略は後で大臣から資料を渡す。受けてくれるな?」
勇「は、はぁ。と、とりあえず、魔王を倒せばいいんですよね?」
王「まぁ、それ以外にもあるが、大筋はそうだ」
勇「解りました。粉骨砕身、この身を賭して魔王を討伐しましょう!」
王「おお、やってくれるか!では経費についてだが道中の街の銀行に着くたびに振り込むのでそこから交通費と出張費、それから危険手当を含めた金を受け取ってくれ。食費等もそこからまかなってくれてかまわない。宿泊費については領収書を張り付けて、この城に郵送で送ってくれ。ああ、それとここまでの旅費は経理で精算してくれ。宿泊施設で領収書は貰った?」
勇「え、あ、いえ、貰ってません」
王「おいおい、しっかりしてくれよ。困ったな。これじゃあ宿泊費が出ないよ。しかも君、徒歩できたの?危険手当の500Gしか出ないよ?」
勇「あ、はい、それでいいです。道中のモンスターを倒して稼ぎますので」
王「あ、そう。じゃあ、良いか。その他手続きや細かい事はこのマニュアルに書いてあるから読んで置いてくれ。君の活躍を期待しているぞ」
勇「は、はい!」
姫「勇者様、父の奇行をお許しください。父も限られた税を有効に使おうとした結果異邦人を招いて教授を受けた結果なのです」
若い女性の声。どうやらこの城の姫のようだ。
目を王の方から姫の方へやるが、そこにはお付の者らしきものの姿があるだけだった。
勇「姫、様?」
姫「どうかしました?」
声の主はどう見ても、この侍女というか、村娘Cみたいな娘から発せられたものだった。解りやすくいうならクラスで3番目に可愛い子みたいな感じ。APPで言うと13とか14ぐらい。
勇(ええええええ!?姫様ってふつう超絶美人とかだろ!?APPで言うと18とか17だろ!?微妙な美人で反応に困るわああぁ!でもここで支援切られたりしても困るし、本音は黙っておこう)
勇「なんでもありません姫」
王「どうだ?美人であろう?」
勇(反応に困るからやめて!そんなこと聞かないで!)「ええ、ヒジョウニウツクシイ」
王「姫はまだ婚約しておらぬ。もしよかったら」
姫「今はそんな事を言っている事態ではありません」
姫はやや慌てている。
勇(よし、この流れで!)
勇「そうです王様!魔王軍の魔の手はすぐにやってくるでしょう!手続きもしなければいけないようですし、私はこれで!」
王「おお、それもそうだな。善は急げ、時は金なり。頼んだぞ。冒険の役に立ちそうな仲間を探すのも忘れるでないぞ」
心なしか姫も安心している様子。
勇「は!失礼いたします!」
よし!さっさと行こう!勇み足で出て行ったがその後、大臣と経理の間を行ったり来たりして何とか500Gを手に入れる頃には日が暮れていたという。
勇「仲間よりも経理担当、探そう」
と勇者は心に決めた。
今回の登場人物?の設定。
王様:異世界からやってきたビジネスマンに当てられて、何故か経営学を学び、会社の社長みたいになってる。在庫管理のため旅立ちのアイテムを渡すのに書類や手続きが必要なシステムを作ってしまう。結果的には財政は安定しているし、無駄な税金も徴収しないので結果は賢王である。経理係と大臣は仕事が増えて、不平不満が多そうではある。
姫:どう見ても村娘C。別に好きな人が居て、勇者と結婚は微塵も考えていない。