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少女に捧ぐ花

 柔らかな体。静かな寝息。髪からは少し汗の匂い。静かな部屋。ロウソクのかすかな光。

 自分にしがみついて眠る、白いワンピースの少女。

 世界中で、彼女以外の何もかもが不完全だった――自分もだ。

 この少女こそが、探し求めていた完全な存在なのだろう。永遠ではないにしてもだ。

 それでも、この少女であれば、変わっていっても愛せるかもしれない。時間や変化というもの――老いも滅びも受け入れられるかもしれない。醜いものも、汚いものも、少しであれば許せるようになるのかもしれない。

 だからせめて。あなたの変化だけは、一番近くで見守らせて欲しい。

 一番美しいこの時だけは、一緒に居て欲しい。

 私にとって、世界中で意味があるのはあなただけなのだから。

 眠る少女の指に自分の指を絡める。少女が無意識に握り返す。

 彼女は涙を流した。この瞬間の喜びに。永遠ではないことの悲しみに。

 眠る少女の頭に、一輪の花を、そっと飾った。

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