第四話:裏口
制服を見るたびに、まことの事をおもいだす美弥。
はっと気がついたときは5分は経っている。
月曜日、あくびをしながら登校。珍しく裏口から入ってみたくなった。
ぽつんと立っている木を眺めながら、ぽつんとあるく美弥のすがた。
誰も見ていないのを良いことに、美弥はゆっくり歩いた。
「あっれー?みーちゃんだー、だよなー、純。」
この声の主はもちろんまこと。ドキっとした。というか、疑問をもった。
どうしてここを通ってるの?という、たかが、といったらいいか、素朴な疑問を。
「あ、お、おはよーう。じゅんと、まーじゃなくてまこと。」
まことはにっと笑うと「よろしい」とあたまをぐりぐりとなでた。
「ねえ、じゅん・・?じゅんはだれか好き!!って思う人いないの?」
歩きながらふと質問した。純は、ふっと黙って、急に笑顔をつくった。
美弥の方を見ながら、どんどん口元が緩んでいく。
「みーちゃんに決まってるじゃーん!」
恐ろしいばかりににやりと笑う。まことも負けじと、
「俺も俺もー!おれもみーちゃんだもんねー」
この姿を舞子にみせたらどうなるだろうか。恋愛と友情、どちらを優先すべきか。
舞子もまことも純も、大変な存在であり、優先するべきかせぬべきかは決めがたい。
「ねーねー、みーちゃん、どっちだよ」
美弥は口を揃えていったまこと達のことを、本気にしてしまうところだった。
今のところ、まことなのだけれど・・。