第三話:素質
部活の後、美弥と舞子は遊びに行くことにした。
舞子は可愛い格好が似合う。そしてファッションにも敏感だ。
今日のスタイルはピンクのキャミソールにジャンバーをはおり、半ズボンにカラフルなボーダーのハイソックスをルーズにしてはいている。
「可愛いね。」
まるで彼氏と彼女のようなやりとりであった。
そこで本当に彼氏でもできないかと美弥はおもった。
と、その時。背後から低い男の声がした。聞き慣れた声だったが、背後ではわからない。
ふりかえると、そこにはまこととその友達の姿があった。
「よ、2人でなにしてるの。もう4時だよ。帰りなって、危ない」
心配性過ぎる。4時で帰れなんて、親よりひどい。
隣にいる男子・・・よく見れば一番格好良いと言われている『日比谷 純』のすがたがあるではないか。少々上目遣いの舞子をみると、2人の視線は舞子にあるように感じられた。
「こんにちは、まーと、日比谷さん」
美弥は引き気味にいった。純は吹き出すと、ぽんぽんと美弥の頭の上に手をおいた。
何か恥ずかしいことをしたのではないかと緊張した美弥。
しかし次の瞬間、かなり驚いた。
「俺のことは『じゅん』でいいよーん」
「あーだめ。だったら俺のことも『まこと』って呼んで」
別にどっちでもいいじゃないとなぐさめてやりたくなった。
でも2人とも可愛かったから、希望通り、じゅんとまことって呼んで上げることにした。