第三話~初めて知ること~
一歳で親を亡くし、施設に育った俺はなんてことのない親子の関係、というのがよくわからない。
いつも親のいる子が羨ましくて仕方なかった。
羨ましいとは思ってた、でもいまさら体験したかったわけじゃないんだが…。
お腹が空いた、ということを表現するために泣くとリュスカさんがミルクをくれる。
…いや、あのさ、外見と立場はどうあれ三十近い男が人妻のおっぱい吸うとか、ないだろ?
どうにも吸えずにいたら、昔施設で俺より小さい子に使ったことのある哺乳瓶によく似たのが出てきたんだ。
ほっとしたねぇ。なんか間男気分にならずに済んで。
…ま、シモはどうしようもなかったけどさ…。
そして、気付いてしまった。
あれとかそれとかを処理されてるときにおかしいな、と思うこと数回。
遂に俺は知りました。
…俺が女だってことを。
分った理由は…言わずとも察してほしい。
大体さ、リュスカさんやファグさんに所謂おとぎ話とか童話とか絵本とか読んでもらったら女だって分るんだよ。
シンデレラに眠り姫、白雪姫にラプンツェル、赤ずきんに人魚姫…のような、似た感じの話ばっかなんだ。
どう考えても女の子に読ませるタイプ。俺個人としてはぐりとぐらとかが好きなんだけど。
まさか女だとは思わなかったなぁ…。
あ、でもこの二人の子供なら美人になるかも!
美人になりたいわけじゃないけど、前みたいな平凡顔も微妙だもんな。彼女いない歴=年齢だったし。
自分が女だと認めるのは根性がいったが、まぁ仕方がないと諦めた。
いまさら変更できることでもないわけだし。
ああ、でも、なぁ?
俺が女ってことは、俺将来男と結婚したりすんの!?
…考えたくねぇなぁ…。