第二十四話~馬車の中、ハーレムってこういうことか?~
四月中に更新出来ず悔しいです。
五月も頑張ります。
時は巡り、今日はエレメンスタイン家主催の舞踏会だ。
レティスリール嬢が選びに選んだ一品のドレスを身に纏い、俺は今屋敷へと向かっている。
学校が外出許可出さなきゃいいものを…!
俺の今の格好は、最高級の絹を使った多分デザイナーが泣いて悲しむ地味なドレスだ。
どういう事だと思うかもしれない。
お嬢様が着せようとするドレスはどれもこれもレースやフリルが満載で派手派手だった。
最近の流行らしいから仕方ないとは思う。でも!
漸くスカートに違和感を覚えなくなった元男にはきついんだよ、色んな事が!
だからぎりぎりまで交渉し、今のドレスに落ち着いたわけだ。
生地や裁縫は最高級品を使う、でも華美なデザインにはしない。
こういう条件で俺とお嬢様は双方納得する結末を迎えたわけだ。…大変だった…!
シオルが味方してくれなかったらと思うと…恐ろしい。
シオルといえば…。そう思い横に座るシオルを見る。
深い紅色の生地に鮮やかな青い大輪の花(テンプ草という、媚薬の材料だ。花は綺麗だけど薬としては禁じられている)が描かれた見るものを魅了する振袖を見に纏っている。
きっちりと整えられた髪は時代劇を彷彿とさせる…と言えば分かってもらえるのではないかと思う。
姫様…!って感じ。うん、可愛い。
「どうしましたの、じっと見て。」
「いやね、その服でダンス踊れるのかなって?足捌きとか大丈夫?」
「慣れてますもの、大丈夫ですわ。それに、男性パートでしか踊ったことのないリースよりは不安はありませんし」
「…うん、そーだね、そうだよね」
だって元々は田舎もんだし!ダンスとか常識じゃないですよ。
学校に入っても、行儀作法だのは選択してないしさー…。
初ダンスがお嬢様だからね、男パートしか知らないよね!
「大丈夫、私も男の人のパートだけだよ、お姉ちゃん」
ぐっと拳を握り込んだルーナの励ましに、胸が熱くなる。本当に可愛い妹です。
…でもなぜタキシードなんだ、妹よ…!
最近背が伸び始めた妹は、可愛い顔を凛々しく引き締めていることが多い。俺と一緒に居る時はまだまだ子供の顔なんだけどね。
学内で王子様扱いされてるせいか、どうも、こう…男らしくおなりだ。
いや、それもまた個性だ!例え週一で女子に告白されようとも個性だ!
心配だけども!
ビシっとしたタキシードに身を包んだ妹はどっから見ても髪の長い美少年です。
会場のお嬢様を虜にしちゃうんじゃないかとお姉ちゃん心配です。
くいくい、と控えめに袖を引かれ振り向くと、ちょっと眉根を寄せたお嬢様。
流行りのレースとフリルをふんだんに使った派手派手ドレスに身を包んでいるにも関わらず、くどさを感じさせない愛らしさは特筆すべきだと思う。
しっかり縦ロールはお嬢様の代名詞(?)で、今日は一段と決まってらっしゃる。
「どうかしましたか?」
「一番最初のダンスは私と踊るんですのよ?姫様やルーナ嬢と踊るのは構いませんけれど…他の女性と踊らないでくださいね」
上目使いでおねだりとか可愛いなぁ…。もう一人くらい妹欲しかったかも。まぁお嬢様でいっか。
「分かってるよ、それに普通は女性と踊らず男性と踊るものだと思うけどね」
男に誘われるはずはないけど。だってこの三人に囲まれてるんだよ?
どう考えても埋もれてます。目立ちません。むしろ望むところだ。
壁の花になって、お嬢様の親を説得して、上流階級の食卓を覗き、自分のものにするのが今日のプランだし。
そして舞台はエレメンスタイン家の舞踏会へ…。
短い…いつもの事です。