第二十一話~幼馴染はガードが堅い~
俺が学校に入学してから早半年。
最近ではマッドサイエンティストの弟子という最高に名誉な称号を得た俺は毎日を平穏無事に、そして平凡に生きている。
蛙攻撃も止んだ。…まぁ、もうすぐ冬だしね。冬眠するもんな。
ルーナとの円満な兄妹関係、シオルとの穏やかな友情、クレイル先生との胸躍る研究…。
ああ、幸せだなぁ…。
それに、この間ケイマに手紙を出した。
ケイマはこの間飛び級に飛び級を重ねて魔法学校を首席で卒業し、最年少国家魔法師になった。
12歳で国家魔法師とか凄いよな、本当に。
魔法学校にいる間、生徒たちは学校の外に出ることも、手紙などのやり取りも許されていなかった。
だから手紙で今中央の女学園にいるって言ったら凄い驚かれたんだけど…。
今度の休み会いに来てくれるって言ってくれた。
久し振りに会う幼馴染で親友はどんな奴になっているだろうか。
…きっと物凄くハイスペックでチートな奴になっているだろう。うん、間違いない。
そして今日はその約束の日。
ルーナ、シオル、そしてなぜかクレイル先生とともに学園のすぐ外のカフェでお茶をしながらケイマを待っている。
…まだかなまだかな。辛子爆弾ちゃんと使ったかな。
変態に襲われたりしてないかな。
チーズケーキをじっくり味わい、レシピを書きだしながら待っている俺にクレイル先生が笑った。
「落ち着きなさいって。まるで子犬みたいだよ」
「へ?」
「ふふ、そんなに何度も道をご覧にならなくても、すぐにいらっしゃると思いますわよ?」
「…お姉ちゃんがこんなに楽しそうなの珍しい…。…私のお姉ちゃんなのに」
「そんなに楽しそうかなぁ?まぁ、五年振りだし」
俺にとっては年上でも弟みたいなもんだし。
まだかなー…。
…結論・ケイマに会えませんでした。
中央の外れにある魔の森と呼ばれる場所に大型魔物が出たんだと。
国家魔法師は徴収されたんだと。
手紙を携えてやってきたケイマの従者という少年はなぜか髪をチリチリパーマにして、泣きながらそう伝えてきた。
…雷にでも打たれたのかな?
『リースへ
仕事が出来て会えなくなった。本当にごめん。ルーナや君の友人、君の恩師にも会いたかったのでとても残念だ。でも必ず会いに行くので待っていてほしい。
僕との約束を忘れていないと信じてるよ』
短い手紙には凄い念が込められている気がした。
…約束?…なんだっけ?
…あ、あれのことかな?もしかして?
…忘れたふりしたら誤魔化せるかな。
半月に一回更新出来たらいいんじゃないかと思い始めた駄目執筆者の浅倉です。
相変わらず短いですがご容赦を。
ガードが堅い幼馴染です。困ったものです。
出すつもりはありますがまぁ、そのうちです。