第十七話~出会いは突然に④~
「はい?」
ドアを開ければそこにはゲンノスケさん。
「先程は有難うございました。食事のお礼を主が申したいと…」
「それはどうも、ご丁寧に…。あれ?リュード語お話になれたんですね」
「はい。先程はつい、母国語で話してしまいましたがリース殿はエンラントリュードの方ですからな。やはりこちらのほうが宜しいかと思いまして。私のリュード語はいかがですかな?」
「とてもお上手ですよ」
訛りもないもんなぁ。凄いもんだ。大した男だよ、ゲンノスケさん。
ゲンノスケさんがドアを開くとそこにはとっても可愛い日本人形が立っていました…。
あ、違う人間だこの子。
俺と同じくらいの身長で年も同じくらいの黒髪と濃い茶の瞳で白地に桜模様の着物を身に付けた女の子。まっすぐなストレートの髪をたらし、頭の後ろに大きな赤いリボン。
…どっかで見たことある日本人形としか思えません、やっぱり。
「お初にお目に掛かりますわ。私、シオル・ド・カツラギ・エンラントリュードと申します」
「私はリース…。エンラントリュード!?も、もしかして王族の…」
月一発行のエンラント通信情報によれば(国唯一の全国紙の新聞・中身はちょっと週刊誌っぽい)王族で柳国の血が流れてると言えば…。
「リオール皇太子の第一皇女様…?」
「あら、よくご存じですわね。ええ、私皇女ですの」
いやいやいや!そんな素敵笑顔でこてん、とか首を傾げつつ言われても困るんですけど!
皇女様と出会うフラグとかそんなんいつ俺立て…。
…あ、そういや立ってたわ。うん、立ってた。
俺が学校に入ったのって王様の孫と同い年だからじゃん。
「貴女のお名前は?」
「え、あ、お、いや、私はリース・クロフ・エネリークと申します。それと…」
「妹のルーナ・クロフ・エネリークと申します」
微笑んでスカートをつまみ、お辞儀をしたルーナ。うん、ばっちり!むしろ俺が駄目だ!
「エネリーク…?あら、でしたら貴女がお爺様の言ってらっしゃった方なのね。フェリトチェール前伯爵の曾孫だという…」
「はい、確かに私たちの祖父はフェリトチェール伯爵家の出身です。国王陛下とは親交があったと聞いております」
「ええ、私も聞いているの。…そんなに畏まらないで。私たち、同じ学校に通うことになるのでしょう?お爺様はこうも言っていたの。貴女が貴女のお爺様に似ているのなら、私と貴女もお爺様たちのように仲良くなれるだろう、って」
なんということ!
まさかのお姫様と友人フラグ!
ああ、でもフランス人形みたいなルーナと日本人形みたいな姫様が一緒にいたら凄く綺麗なんじゃなかろうか。
やばい、凄い見たい。
あ、でも、あれだよね。
俺とルーナですら一緒に居られなかったのに、お姫様と一緒とか確実にこれ、ハブ、及びいじめフラグじゃね?
ちょっと時間が開いたので。
はい、新登場はお姫様でしたー(分り易い伏線でした)