第十一話~魔列車探検~
「どこか見てみたいところとかある?」
紅茶を飲んで一息ついたところで俺はルーナに聞いてみた。
悩む様子を見せるルーナは小首を傾げて唇を突き出して…そりゃもう可愛かった。
本当に可愛いよなぁ…。俺は何があろうとルーナを守ってみせるぜ。
「食堂車行ってみたいな。食べたことないものあるかもしれないでしょ?」
「それは確かに気になるな。じゃ、行ってみようか。珍しいものがあったら食べてみよう」
「うん!」
無邪気にはしゃぐルーナの手を握り、部屋の壁に貼ってあった地図通りに食堂車へ向かった。
今はお昼には早く、朝には遅い時間帯なので食堂車はかなり空いていた。
多分、これが食事時だと一杯になるんだろうけど…。
十両編成の列車のせいか広い。
昔見た海外の食堂車を想わせる瀟洒な雰囲気に思わずため息が漏れる。
こういう店で出るご飯…美味いかどうかよりも正直マナーとかのほうが微妙だな。
所詮根っからの庶民だし。
「お姉ちゃん、私リクルのフェレージョ食べたい」
くいくいと手を引いたルーナに目を向けるときらきら輝く瞳に見詰められた。
リクル(日本で言うりんごに似た果物)のフェレージョ(いわゆるタルトみたいなもの)かぁ…。
今はリクルの時期じゃないから中々作ってあげられないんだよね。
しかしルーナはリクルが大好物なのだ。
んー…。
「お昼ごはんちゃんと食べたらデザートに頼んでもいいよ」
「本当?私ちゃんと食べる!」
「好き嫌い駄目だよ。ピークル(ピーマンに似た野菜)もちゃんと食べれる?」
「うぅ…た、食べれるもん。…多分…」
「なら少し早いけどお昼にしようか」
ちらり、視線を食堂車の中に向けるとすかさず、といった感じでウェイトレスさんが近づいてくる。
流石プロだな。
「いらっしゃいませ、二名様でございますか?」
「はい」
「こちらへどうぞ」
案内されたのは車両の真ん中、空いてるからいい席座れたや。
ルーナには少し高い椅子だったので、俺が座らせてやる。
俺が座るより先にメニューを開くルーナに苦笑する。
俺が料理好きなせいか、ルーナはちょっと食べることが好きだ。
「私、ベルーフリアンのセットがいい」
メニューを見てさっと決める。なかなか食べる機会のない料理にしよう。
やはり視線でやってくるウェイターさんに注文する。
「ベルーフリアンのセットにラナサラダ。カルランレーナのセットで」
「かしこまりました」
ラナサラダ、と聞いてルーナが眉をひそめる。
ポテトサラダみたいなものだが、なぜかピークルが添えてあるのだ。
ちなみにベルーフリアンはハンバーグみたいなもので、カルランレーナはメニューの説明的に多分ラザニアみたいなものじゃないかな。食べたことないから分らないけど。
食べたことない料理はじっくり食べないとな。
レシピを盗んで家でも作れるようにするんだ。
なんか料理名とか材料とかすぐ忘れそう…。
そのうち普通にハンバーグ出来たよーとか言い出したら面倒になったんだと思ってください(^_^;)
後脳内変換でハンバーグ(ベルーフリアン)とか思ってください。
…次回からそうなるかもしれないので(面倒くさがりにも程がある)