第九話~学校があるんだって~
この国には認められたものだけが入ることのできる学校がある。
ケイマが入った魔法学校やその昔おばばが通ったという薬師学校、色々な分野の学校があるけど、中で一番異質なのが良家の子女のみが通うことを許される淑女養成学校だ。
通称花嫁学校。いい旦那をゲットするための学校らしい…。
どこの世界も女の子の結婚願望って!
ああ、恐ろしい。
ところで、何でいきなりこんな話になったかというと、村長の娘のアレニがそこに通いたいと我儘を言い出したせいだ。
俺は別にアレニと仲がいいわけじゃないからどうでも良かったんだが、俺の家がどうでも良くなかった。
俺の家は普通だけど、父方の祖父が(超絶美形の孫馬鹿だ)王家に近い、らしい。
何でもその昔、あまりに美し過ぎて国王の側室候補だったとか何とか…。
…顔がいいのも考えもんだよなぁ…。
まぁ、国王じゃなく周りの人間が乗り気だった話で、国王自身はいい友人だったらしいんだけども。
ちなみに、じいちゃんは元伯爵家の二男坊で、家柄の釣り合わない庶民のばあちゃんと結婚するために家を出たらしい。
男前だぜ、じいちゃん…!
で、今でも国王と親交のあるじいちゃんのコネを村長は必要としたらしいけど…。
じいちゃんは嫌がった。当たり前だよな。
それをごねてごねてごねて…じいちゃんが渋々折れた。
村八分はごめんだ、っておっきく溜息吐いて。可哀想だったからマッサージしてお茶入れてあげたら号泣しつつ喜ばれた。じいちゃん、怖い。
んで、こんだけ長々と何語ってんだ、って思うだろ?思うよね?
じいちゃんが国王様に仕方なくお願いしたら…国王様は条件を出してきた。
曰く、
「丁度、うちの孫も入るし、お前のとこの孫も入るならいいよ」
だって(じいちゃんの要約。勿論もっと国王様は厳かにお話になられたと思うよ、うん)
だから、次回から舞台が変わります。
中央の全寮制の花嫁学校に通う俺とルーナの話が始まります。
…ルーナは早いんじゃないかって?
だって、俺と離れたくないって泣くんだもん。置いてけないでしょ?
ルーナが中央に行くってんで、村の子供の九割泣いてるけど、それはどうでもいいし。
…はぁ…何で俺が花嫁学校に…。
俺の夢はおばばの後を継いで薬師になることなのになぁ…。
仕方ないから中央で流行ってる刺繍とかお菓子でも研究しよ。
あ…、中央行ったらケイマに会えるかなぁ…?
舞台は中央へ!
全寮制女子校での主人公の生活は波乱に満ちています(^◇^)