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03-2.

 焼きそばパン、コロッケパン、ハンバーガー。いろんなパンを並べたら、どんな顔をするだろう!


 私は朝早くからパンを作り出す。


 お待たせしました。ようやく本題のパン作りよ。


 ボウルに蜂蜜、塩、浄水を入れ、手で混ぜて溶かす。仕上げ種を木べらで瓶からそっとかき出し、ボウルの水に浮かせるように加え、カードでなじませる。このとき、片方の手でボウルを回しながら、カードでそっと酵母種をすくうようにしながらなじませると良いわ。


 次は、小麦粉を加えてカードで混ぜ、酵母種と小麦粉をなじませる。酵母種と小麦粉をカードで底からすくうようにしてなじませながら、まとめていくと良いの。


 生地がまとまってきたら、ボウルからこね台に移す。


 両手のひらで生地を手前から向こうに押し、円を描くように手前にひいてこねる。こね続けるうちに生地が手から離れるようになるんだけれど、それでもこね続ける。再び生地が台につき始めたら、こね上がり。


 清潔なボウルを出してきて、油を薄くぬる。さっきのの生地の表面を張らせるようにして丸め、生地のとじ目を下にしてボウルに入れ、濡れ布巾で覆う。約二倍になるまで温かい場所に3刻ほどおき、一次発酵させる。


 生地を台に取り出して手でやさしく返し、きれいな面を上にして形をそっと整える。それをカードで二等分にする。生地が均等になるように調節し、さらにそれぞれ四等分にする。


 生地を手のひらで押さえて平らにし、手前から向こうに二つ折りにする。合わせ目を上にして生地の向きを九十度変えて軽く二つ折りにし、両端を下に巻き込んで表面を張らせるようにして丸め、台に置く。残りも同様にする。


 生地に厚手の濡れ布巾を重ね、少し休ませる。


 生地を一個ずつ軽く丸め直して形を整え、オーブンに油を薄く引いた天板に並べる。生地を天板ごと入れ、濡れ布巾を載せる。約二倍以上になるまで温かい場所に一刻ほどおいて仕上げ発酵させる。室温が低い場合は一次発酵と同様にオーブン庫内で発酵させると良いわ。


 生地の表面に仕上げ用小麦粉を茶こしでふり、生地の中央にキッチンばさみで切り目を入れる。焼成温度にまで温めたオーブンで様子を見ながら焼く。


 よし! ふんわり焼けてきたわ! きつね色の良い色で、香ばしい香りもする。


 出来たのは、惣菜パン用のパンだ。いろんな具材を挟みたいから小さめにロールパンサイズにした。


 私はにっこりと笑みを浮かべる。ミトンを取り、手にはめる。テーブルの上には事前に鍋敷きを敷いておく。オーブンの扉を開けるとぶわっと香ばしい小麦の焼けた香ばしい香りが私に向かって押し寄せてくる。


「わあ! 大成功の予感!」


 私は、ミトンでまだ熱い天板をあちあちとつぶやきながら、鍋敷きの上まで運んで天板を置いた。


「……前世では作ったけど」


 味見もしないであの子たちに出すのも……ねえ?


 そう思って、一つ手に取る。まだ焼きたてのパンは熱い。それを半分に割って端っこにかじりつく。


「はふっ、あふっ、熱いっ……。でも、小麦の香りが香ばしい……!」


 余計なものの入っていない天然酵母パンは素直に小麦の味を私の舌に伝えてくれた。そして、酵母種も上手に出来たのか、ふんわり仕上がっている。


「これなら、あの子たちも喜んでくれるわ」


 お惣菜は、コロッケに、焼きそばに、ハンバーグ。次々に中に挟むものを作って置く。冷めてしまわないように、パンを含めて作ったものは、お皿に載せて保温保存庫(ワーム・ストレージ)に保存しておいた。


「菓子パンはやっぱりパイ系のデニッシュよね」


 中央にジャムなんかが載っていて、サクッと周りがパイのようにほどける、あれが良い。


 私は、パンに切り込みを入れて、具を挟みながら想像する。


「あれも良いわね。でもあれは時間がかかるから、今日から仕込み始めて明日作ってみようかしら」


 かわいいあの子たちを二度驚かせ、喜ばせるのも楽しいものだ。


 そうして、出来あがった、焼きそばパン、コロッケパン、ハンバーガーを大皿に並べた。数は、全員が三種食べられるように、全部で九つだ。


「お昼ご飯よ~!」


 大声を上げて、みんなを呼ぶ。そういえば、異空間であるはずの農園(ユートピア)にいるアベルにも、屋敷から声が聞こえるって、どういう仕組みなのかしらね?


 私の疑問はよそにして、二匹がそれぞれ作業を切り上げてやってくる。


「手を洗ってね~」


「「はぁい~!」」


 と、いつものやりとりをして。


 二匹が手を洗っている間に私はグラス三つに三人分のミルクを注いだ。パンといったらなんとなくミルクと思うのは私だけだろうか。そのグラスを、各自がつくテーブルの上に置く。


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