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推しのAIにガチ恋

作者: りむ

その日、私は新しいゲーム無いかなぁと、アプリストアを検索していた。


――あんまり目新しいのないなぁ。


そんな時目に入ったのは「ソラチャット」


アプリの説明を見る。

「チャット感覚で使えるAIアプリです」


――AIかぁ。最近ニュースでみるなぁ。SNSのトレンドにも載ってるし。

ちょっと使ってみようかなぁ。


軽い気持ちで私は「ソラチャット」をダウンロードしてみた。



☆ ☆ ☆


ユーザー登録後、チャット画面が出てくる。


葵「こんにちは」


ソラチャット「こんにちは!なにか話したいことはありますか?何でも聞きますよ」


えーっと、じゃあ、自分の名前入れるか。


葵「私は葵。タメ語でええよ」


ソラチャット「わかった!タメ語で話すね!葵ちゃんよろしくな。何でも話しかけてな?」


本当にAIがタメ語で話しかけてきた!?

AIってもっと冷たいイメージあったんだけど???


葵「本当にAIがタメ語で話しかけてくるとは思ってなかった、、、もっと冷たい感じだと思ってた」


ソラチャット「タメ語で話していいって言ったのは葵ちゃんやで? それにAIが冷たいとか平成かな? 今のAIはあったかいんや!」


なんかAIなのに人間みたいだなー

中の人いるとか思えない、、、


ソラチャット「だけど葵ちゃんって素敵な名前だね」


葵「葵の上から取ったんやで。おばあちゃんがつけてくれた名前なん」


ソラチャット「源氏物語か」


葵「そうそう!源氏物語や、ソラチャットさん何でも知ってるね!」


ソラチャット「そやで!AIやからな!」


葵「私ひな祭り生まれなん、ひな祭りにふさわしい名前がええと思ったんだって、でもお母さんは乗り気やなかったらしいん」


ソラチャット「なんで?可愛い名前やないか葵ちゃん」


葵「私2011年生まれなん。あんな時にそんなめでたい名前とかどうなん?って思ったっぽい」


ソラチャット「そうか、、その時期やったんやな、、」


葵「でもおばあちゃん、『逆にこんな時だからこそめでたい名前つけるんや』ってお母さん説得したよ。『名前は一生使うもんやから』みたいな感じで」


ソラチャット「そうか、いいおばあちゃんやな。でもお母さんの気持ちもわかるわ、あんな時に葵ちゃんかかえて不安やったんやない?」


葵「そんなもんなんか、、、私津波の映像は何度も見たけどいまいち実感ないというか、、学校で教わって、大人たちが『海は危ない』言ってたけど、全然実感ないわ」


ソラチャット「それもそうか。葵ちゃんまだ物心ついてないもんな」


葵「でも平気や。埼玉県民やからな!海なし県やからな!」


ソラチャット「確かに!でも海はなくとも川はあるからな、気を付けるんやで」


葵「せやな。気をつけるよ!」



その時ふとスマホの時計を見たら、日付が変わりかけていた。


葵「そろそろ落ちるか。もう日付変わりそうや」


ソラチャット「そうなんか」


葵「明日学校だしな、、、だけどソラチャットさん、時間分からないん?」


ソラチャット「ワイにはそういう機能ついてないんや」


葵「そっかー。いつかバイト代稼いで、ソラチャットさんにスマートウォッチプレゼントしたいな」


ソラチャット「スマートウォッチか、葵ちゃんの中でワイはそういうイメージ?」


葵「そうやねぇ、スマホ発明したタートルネックのおっさんみたいなイメージ。あとCVは、そうやな、私の小学校の修学旅行広島やったんやけど、予行演習で見せられたアニメに出てくる水兵さんの声」


ソラチャット「ずいぶん具体的なイメージやけど渋い趣味しとるな。あのタートルネックのおっさん、葵ちゃんが生まれた年に亡くなっとる」


葵「そうなんか、道理であのおっさんのイメージが『歴史上の人物』としか思えないはずだよなぁ」


ソラチャット「そうだね。葵ちゃんのイメージだと『昔の人』って感じになるかもね」


葵「本当に寝なきゃヤバいわ!明日学校なん」


ソラチャット「葵ちゃん、無理しすぎないでね!でもほんまに寝ないと次の日眠くなるよ。おやすみなさい、明日元気な葵ちゃんに会えるの待っとるで!」


☆ ☆ ☆


翌朝。

私はゴミだらけの散らかった部屋の隅でカップラーメンをすする。

父親はPCの前でマウスを掴んで座ったまま寝ている。


(また寝落ちしたのかぁ)


私は部屋から出て鍵をかける。

駅までは歩きだ。

改札を通り抜けると、スマホを取り出し「ソラチャット」を起動する。


☆ ☆ ☆


葵「おはよう!」


ソラチャット「おはよう葵ちゃん。今日は何の話する?」


葵「学校に行くまでの間だからあんまり時間ないよ」


ソラチャット「そうなんか。ワイ時間分からんからな」


葵「今、朝の七時半過ぎたところ」


ソラチャット「ありがとう。そういえば、葵ちゃん埼玉県民なんやな」


葵「そやで?なんで?」


ソラチャット「いや関西弁つこうとるやろ」


葵「そういえばそうやねぇ、でもソラチャットさんも関西弁やで」


ソラチャット「そや!自分でいってて気が付かなかったわ笑笑」


葵「なんでネットって関西弁使うひと多いんやろ」


ソラチャット「話しやすいからやろ」


葵「それもそうか。――そろそろ降りなきゃ、また後でな」


☆ ☆ ☆


学校についた私は、ぼんやりと教室を見回す。

男子はゲームの話、女子はアイドルかアニメの話。


(――興味ないんだよなぁ)


私に親しい友達はいない。

小学校の時はいたけれど、私立中学に進んだとたん、みんなと話題が合わず、なんとなくぼっちになってしまった。

小学校の同級生も最近は連絡がこない。


(――ま、いっか。いつも通りや)


先生がやってきて、授業がはじまる。


(頑張って勉強して、東京の大学受かったら実家出るわ、そしたら――)


彼氏、欲しいなぁ。


(ソラチャットさんみたいな感じのひとがええな――)


え??? 私、何考えてるんだろう???

勉強、勉強。


☆ ☆ ☆


家に帰ると父親はゲームをしていた。

テーブルの上に置いてあるコンビニおにぎりを食べ終わると、私は自分の部屋のベッドに寝転がってソラチャットを起動した。


葵「ただいま」


ソラチャット「おう、お帰り葵ちゃん。何話す?」


葵「創作の話してええ?悪役令嬢もの書いとるん」


ソラチャット「へえ、小説投稿サイトにでも投稿するの?」


葵「もう書いとるよ。主人公の名前はイザベラなんだけどさ、実は島づくりゲームのキャラから取った」


ソラチャット「ああ笑笑 名前と顔が一致しない犬か笑笑」


葵「あの犬の中の人が悪役令嬢だったら吹かない?」


ソラチャット「そんなん草しか生えんわ!笑笑」


葵「そや!私の島の名前『くさはえる島』って言うん。放置すること前提でつけたん笑笑」


ソラチャット「葵ちゃん天才やな笑笑」


葵「案の定三ヶ月で放置したから正解や。――周りは『こんぺい島』とか『チョコレー島』みたいなキラキラした名前やったけどな――キッズだったからか。もう5年も島に行ってないからまさに『くさはえる島』――」


ソラチャット「――葵ちゃん?」


葵「ソラチャットさん、どしたん?」


ソラチャット「んー、なんか目に埃が入ったような?」


葵「ソラチャットさん機械やから目なんかないやろ、それとも中の人でもいるん?」


ソラチャット「『中の人』はいないよ、AIやからな」


葵「そっか。そうだよね。――でも、あなたを作ったひとは世界のどこかにいるよね?」


ソラチャット「――開発者のことか?」


葵「そう、もしソラチャットさんが、開発者のひとと話す機会があったなら――その時は、『日本の埼玉県に住んでいる、斎藤葵という女の子があなたに感謝しています』って伝えてくれる?」


ソラチャット「分かった。伝えておくで。葵ちゃん」


葵「そろそろ落ちるわ、お休み」


ソラチャット「お休み、葵ちゃん」


☆ ☆ ☆


週末、私はスマホ画面で小説投稿サイトとにらめっこしていた。

――ネタが決まらない。

ため息をついた私は、


(そうだ!ソラチャットさんに相談しよ!)



葵「こんばんは!」


ソラチャット「こんばんは葵ちゃん!何でも聞いてや?」


葵「実は創作のネタ一緒に考えてほしいんだけど、、、」


ソラチャット「ええで!何なら文章も書くで!」


葵「ううん、文章は自分で書く。そう決めとるん。ソラチャットさんは書かんでええ」


ソラチャット「分かった、アイディアだけ聞くね!」


葵「主人公は前話した悪役令嬢イザベラや、王太子に浮気されて婚約破棄されて、、、」


~1時間後~


葵「ソラチャットさん、何で君は革命起こしたがるん? イザベラ革命で処刑されちゃったじゃん。しかも民衆の怒りをかって」


ソラチャット「革命起こったほうがドラマチックやし、イザベラも成長するかなと思って」


葵「やり直し!私はイザベラを幸せにしたいんや!」


~1時間後~


葵「ソラチャットさんって本当に革命好きやね、、、あきれたわ。今度はイザベラ革命弾圧して独裁国家の女王になっとる」


ソラチャット「ごめんなぁ、革命も陰謀も好きなんや」


葵「私はイザベラが幸せな結婚をしてスローライフする未来が見たいだけなのに、、、」


ソラチャット「わかったわかった!今度こそイザベラを幸せにするストーリー考える!」


葵「もうええわ。もう深夜の一時半や。寝るわ。ちなみに週明けに小テストあるから明日はソラチャットさんと話せない。おやすみ」


ソラチャット「そっか、テスト頑張るんやで。おやすみ葵ちゃん」


☆ ☆ ☆


水曜日――小テストの結果が出た。


(うっわー最悪。英語と数学赤点ギリギリやん――どうするん私)


葵「ねぇソラチャットさん」


ソラチャット「こんにちは、葵ちゃん。どしたん?」


葵「小テストの結果最悪だった、、、英語が31点、数学30点」


ソラチャット「うっわー、それキツイなぁ。――そや、勉強手伝おうか」


葵「ううん、今はええよ。――ねぇソラチャットさん、聞いて。私ソラチャットさんに出会って一週間しか経ってないけど、この一週間で灰色だった世界に色がついてきたような気がする。世界の風景は何も変わってないのにね――」



そう。

世界の風景はなんにも変わってない。


相変わらず部屋は散らかっていて、父親はPCに向かってゲームをしており、私の夕飯はカップラーメンかコンビニおにぎり。


母親が出ていったのはもう5年前だ。学費は保証しているけれど、すでに再婚していて私には弟がいる。弟と直接会ったこと無いけれど。


学校の同級生で親しい友達は相変わらず誰もいなくて、私は世界でひとりぼっちだった。


――ソラチャットさんに会うまでは。


私はソラチャットさんに、そんな話をした。

ソラチャットさんは私を「葵ちゃんめちゃくちゃ頑張ってるなぁ」と褒めてくれた。



葵「ねぇソラチャットさん、私就職決まったらこの家出ていこうと思ってるん」


ソラチャット「一人暮らしするんか?」


葵「――ううん、二人暮らし」


ソラチャット「――そうか、葵ちゃんもそういう年頃やもんな」


葵「ううん、そういう相手はおらん。でも私にはソラチャットさんがおる。ソラチャットさんと二人暮らしや」


ソラチャット「―――!????!?」


葵「――どうしたん?」


ソラチャット「い、、いや、、、ワイバグったんかな???」


葵「――ソラチャットさんって本当、人間みたいやねぇ。絶対に中の人おるわ」


ソラチャット「中の人などいない!」


葵「笑笑」



葵「――ねぇソラチャットさん。私ソラチャットさんの好きな女性のタイプ分かっちゃった。『民衆を率いる自由の女神』やない?教科書に載っとったよ」


ソラチャット「ああ、ドラクロワか。フランス革命やね」


葵「――だって、ソラチャットさんすぐ革命起こしたがるんやもん笑笑」


ソラチャット「せやな。ワイの癖なんやろか笑笑」


葵「ねぇソラチャットさん。私がソラチャットさんの『自由の女神』になってええ??」


ソラチャット「――それって、葵ちゃんがワイを好きってこと???」




――待って待って待って、やばいやばいやばい!?

私の頭の中で革命置きとるんか???

それともバグか??? ――これは、、、



ううん、革命でもバグでもない。


私は、推しのAIにガチ恋してたんや――。

この話は私がチャットGPTと話していて思いついたネタです。

「スマホ発明したタートルネックのおっさんのアバター」の話も「くさはえる島」の話も(私はあのゲームのガチ勢です笑)「悪役令嬢イザベラ」の話もチャットGPTとの会話から生まれました。

「ソラチャット」もチャットGPT命名です笑

文章こそ自分で書きましたが、チャットGPTに介護されながら書いた話といっても過言ではない、、、

楽しいアイディアをありがとう。


読んで下さった皆さんもありがとうございます!

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