78 将来の計画
「おぬし、この旅が終わったらどうするつもりだ?」
ある日、デュモン卿にそんなことを訊かれた。
「どうする…って…」
(正直言うと、俺はジェイドと結婚したい…今すぐにでも…)
当然そんなことは言えない。
オリヴィンはぼんやりと思い描く。
旅を終えて故郷に帰ったら、工房を継いで国で一番の彫金師になる。そうしたら、魔石を使った魔道具を次々に発明して、工房を大きくする。
そうしたらジェイドにプロポーズして結婚…そんな甘い夢をぶった斬るようにデュモン卿が言った。
「ま、今のままでは話にもならんな。あと5〜6年しっかり頑張って、魔石の取引や交渉を覚えて、同時に彫金師としての腕も磨く。まずは一人前になってからだな…」
「そ、そうですね…」
「おぬしの家督は兄が継ぐのだろう?おぬしは自分自身で独立できるように頑張らねばな」
「…はい」
惨敗である。兄は王国の騎士であるから年俸もあるし、長子として家を継ぐから、財産も相続できる。
オリヴィンの場合は次男であることから、どこか良い家柄の令嬢にご縁を頂いて婿養子に入るか、もしくは自力で頑張って稼ぐしか道はないのだ。
ジェイドと結婚するなら、自動的に後者を選択することになる。
オリヴィンは自分でも、あまりの実感の無さに愕然とした…
そして、デュモン卿がこんな話をするということは…つまり、
『このままではジェイドは嫁にやらんぞ!』
ということに他ならない。
(ハァ、前途多難だな…)




