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かすかな違和感






 オストの侍女が彼女を迎えに来て、レヴィとヘーリエンテスに謝った。侍女はオストとシュタインが陛下の指示でここに来たことを知らず、オストが王女をさがしてのりこんだと思っているようだ。

 ふたりはそれをあえて否定はせず、オストがまだ目を覚まさないので、自分達が別の部屋へ移ることにした。

「エアスト」

 長い廊下の先に、堂々たる体躯のエアストが居るのに気付いて、レヴィは片手をあげた。エアストはしまった、というような顔をしたが、やってくる。

「や、レヴィ」

「どうした? 書庫の本をとうとう読み終わったか」


 エアストは苦笑いし、頭を振った。彼は将来の宰相、或いはそれに準じた立場になると目されており、普段は執務室か宮廷の書庫に居る。たまにパーティに顔を出すが、老婦人達の相手をするばかりで未婚の令嬢達とは付き合いをしていない。

「君らがややこしいことにまきこまれていないかと心配でね。しかし、よかった。ヴァルムは危ないところだったそうだから」

「そうなのか?」

「ああ。どうして助かったのかわからないくらいだとか」

 エアストはふうっと息を吐く。レヴィは頭をかいた。

「お前の頭の三分の一でも俺にあればいいんだが、まったく、今回のことはわからないことだらけだ」

「エアスト、昨夜の……」

 ヘーリエンテスが低声(こごえ)で云うのに、エアストは頷く。心配要らない、という目だ。「……ところで、オスト嬢がこちらに居るとか」

「ああ、気分を悪くしてしまったようで、寝ている」

「そう……」

 エアストは目を伏せ、踵を返した。「僕は仕事があるから」

「誰かをさがしているのでは?」

 エアストは振り返り、頭を振った。そのまま居なくなる。レヴィはなんとなく、その仕種に違和感を覚えた。






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