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君らと同じ
「ああ、うまく行かないものだな」
苦い声で云い、やってきたのは、エアストだ。
オストがぴょんと立ち上がり、シュタインが大きく息を吐く。
「エアスト」
「何故? どうしてバラがここに居るの?」
ヘーリエンテスが喚く。「まさかエアスト、あなた」
「違う」
唸るように、トートが云った。長い前髪が顔を覆い、無精ひげがういている。
「俺が……俺がバラに、求婚したんだ……彼女は応じてくれた……」
レヴィはエアストの胸ぐらを掴んだ。
「説明しろ。宮廷は大騒動なんだぞ。何故バラがここに居る? なせシュタインも居る? トートはどうしたんだ?」
「わかった、わかったよ」
エアストは手をあげ、息を吐いた。「君とヘーリエンテスの時と同じだ、といったら、わかるか」
レヴィは手をおろす。
ヘーリエンテスが王女へ駈けより、抱きしめた。王女は涙をこぼし、ヘーリエンテスにしがみつく。




