41話 聖女、最後の旅へ
王都まで早馬を走らせるとおよそ四日。
馬車での編成であれば、五日。
魔王竜との戦いを考えますとカーミルさんの救世主が必要なので大きな荷馬車が必要になります。
さらに日数が必要になると考えて、一週間は見た方がいいでしょう。
しかし、わたし達にそんな時間の猶予はないのです。
一刻も早く、王都に向かわなければ、世界が終わるかもしれません。
それなら、お母さんがパパッとやって、チャチャッとした方が早いと思いませんか?
思いますよね。
わたしはそう思います。
なぜ、わたしがと思わなくはないのですが……。
魔王竜の出現は予言されていたもの。
神でも竜でもない者でなければ、倒せない。
そう予言に書かれている以上、わたし達がやらなければならない……らしいのです。
認めたくないけど、認めなくてはいけない事実なのでしょう。
そして、お母さんには三日のうちにどうにかしなさいと言われました。
まず、自由自在に飛竜へと変身が出来るようにならないと話にならないのです。
さらにお母さんのように魔力を服のように纏えなくならないと大変なことになります。
わたしは露出狂ではないのです。
何度も肌を晒したくはありません。
もう死に物狂いで頑張るしか、ありません。
一日目でどうにか、魔力を服のように纏うことに成功しました。
いわゆるワンピースドレスです。
嘘です……。
これは貫頭衣に近いもので全裸よりはましというくらいに色々と見えてしまいます。
それに色も白一色だけです。
お母さんのように色鮮やかに染められないのです。
「お姉ちゃん、どうしたの?」
「ううん。なんでもありませんよ」
「そうなの?」
アーヤに顔に浮かぶのは私を心配しているとはっきりと分かる不安な表情です。
そんな優しい彼女をこれ以上、心配させる訳にはいきません。
アーヤへと笑顔を向けたつもりですが、うまく笑えたのでしょうか。
それから二日間、必死に練習しました。
その結果、なんとか、貫頭衣ではなく、ワンピースを纏えるようになりました。
相変わらず、色は白のままですが、これは諦める他なさそうです。
私はどうも、魔力の操作があまり……いえ、かなり、苦手なせいかもしれません。
それでも少しはマシになったはずです。
ちなみにこの魔力を服のように纏うことを魔装と呼ぶそうです。
『華麗に変身♪』と言いながら、魔装を使えば、まるで物語のヒロインのようですが……。
駄目ですね。
飛竜の状態から、人に戻る時に使うので絵的によろしくありません。
準備は整いました。
わたし達は急ぎ旅の準備を整えると、出発することになります。
もう一度、この地に戻ってこれるかは分かりません。
だから、わたしは最後に空に向かって、祈ります。
「行ってきますね。お母さん」
すると、不思議なことに心が温かくなってきます。
不思議と力が湧いてくるのです。
「さあ。行きましょう、カーミルさん」




