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閑話 密かに動く第二騎士団

(三人称視点)


 出来る限り、ゆっくりとレイチェルを『東の果て』へと送り届ける。

 ブルーノはこの時間稼ぎをしている間に王都の騒ぎが収まり、正常になると踏んでいた。

 レイチェルの冤罪が明らかとなり、『すぐ戻るように』との伝令が出されるとばかり、思っていたのだ。

 その目論見が見事に崩れ去った。

 

「隊長、これから、どうするんですか?」

「さあな。だが、団長が目を引き付けてくれたお陰で俺達はノーマークな訳さ」

「そりゃ、そうですが……」


 ブルーノは苦虫を噛み潰したような顔をすると王都がある方角を見て、深く息を吐く。


「正直に言って、嫌な予感しか感じないんですよ」

「奇遇だな。俺も同じさ」


 二人はため息をつくと馬を駆り、王都を目指すことにした。

 ブルーノとペドロが感じた嫌な予感は(あなが)ち、間違っていなかったことを人の身である彼らは知る由も無かった。




 ブルーノは王都への途上でペドロと別れ、一人、馬を急がせていた。


 ペドロには既に分散し、王国各所に配置した第二騎士団の面々の合流指示を言付けてある。

 ペドロは小柄な体躯が影響し、剣や体術における技量で高い評価を得ていない。

 しかし、記憶力の良さと頭の回転の速さに加え、俊足であることから、伝令として彼ほど最適な人物がいないとも言われている。

 何よりも人柄の良さが皆から、愛されていたからだ。


「あいつに任せておきゃ、平気だろ……それより、急がねえとどやされるな」


 待ち合わせ時間に少しでも遅れた時の相手の顔を思い浮かべ、ブルーノの額を冷や汗が流れた。


「待ってるのが可愛い姉ちゃんならいいんだがな……」


 そんな独り言を口にしながら、彼は馬を走らせ続ける。

 彼を待っているのは妙齢でもなければ、魅力的でスタイルがいい訳でもない。

 それどころか、女性ですらないのだ。


「ったくよぉ……貧乏くじもいいとこだぜ」


 彼の頭を掠めるのは先程、別れたばかりのペドロの顔だった。


「まあ、仕方ねえか」


 ブルーノは誰に言うでもなく呟くと、馬の速度を上げるのだった。

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