異界の迷子と精霊1「迷い人」
「…大丈夫?」
美少女が心配そうに覗き込んでいる。深い緑の目、透けるような白い肌に金色の髪、そして髪から突き出す長い、耳……?
「こ、ここは…!?」
「良かった…生きてた。ここは大陸西部に広がる森の中よ。あなたはどこから来たの?こんな森の深くに武器も持たず…」
これは、夢…?
リクトは頬を抓ってみたが、夢の中で頬を抓ってもたいてい痛いものだ。夢かどうかを確かめるには至らない。
「わから…ない」
「もしかして«迷い人»かしら?その服装も素材さえ見た事ないわ。…歩ける?」
「えっ…と、大丈夫だと思う。怪我はないみたいだし」
「もうじき日が暮れるわ。里へ行きましょう」
「えっ!?その、大丈夫なのかな…」
「どうして?里は安全よ」
「いや、そうじゃなくて。いきなり得体の知れない奴を連れて行っても大丈夫?」
「ん…よく分からないけど、あなたは«迷い人»のようだし、夜の森はあなたのような«迷い人»には危ないわ。さあ、とにかく行きましょう!」
美少女はスーシアという名のエルフだという。リクトのように、どこからどうやって来たのか分からない存在は数十年から数百年おきに突然現れる。そういう者たちの事を«精霊の迷い人»とか«異界の旅人»などと言い、特別な存在として扱われるのだと歩きながら教えてくれた。
里はそう遠くないと言ったが、リクトの歩調に合わせているせいか日が暮れてきた。獣の鳴き声のようなのが聞こえる。
「里はもうすぐよ!」
スーシアの指差すほうを見ると、すこし開けた場所に一際目を引く山のような大樹が立っていた。
大きな木の壁…いや、大樹の根元にたどり着く
「ここよ」
そう言ってリクトを見ると苦笑する。
「待ってて、今ハシゴを下ろすわ」
スーシアが虫のようなモチーフの笛を鳴らすと、上からするするとハシゴが降りてきた。
リクトにハシゴを登るよう促し、美少女は身軽にジャンプする。身軽過ぎる。木の凹凸や小さな枝を伝って登っていく美少女は、見る間に見えなくなってしまった。
陽はだいぶ傾いているらしく、巨大な樹の影になっている周囲は薄暗かった。スーシアが消えていったほうを呆然と眺めていたリクトは、ハッとして慌ててハシゴに取り付いたのだった。
初めて投稿します
右も左も分からないど素人です
お見苦しい点が多々あるかと思いますが何卒広い心でご容赦頂けますと幸いです