表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/119

第95話 仲間との再会

 翌日、再び待ち合わせ。ただし、今度はユーリとだけではなくて。



「あ! ハルカーーー!!」


「ステラ!」



 お互いの姿を見つけあって、ふたり手を振る。すぐに、ステラは猛ダッシュでこちらに来てくれた。



「わああっ、久しぶり、久しぶり!!」


「うん……! 久しぶりだね!」



 待ち合わせた像のそばで、飛び跳ねながら抱き合って感動の再開を果たす。


 少し遅れて、息を弾ませたセレーナが到着した。



「ハルカ先輩っ! また会えて嬉しいですっ!」


「私も嬉しい! あと、嬉しいって言ってもらえたのも嬉しいな、ありがとう」



 セレーナの可憐な声と、人懐っこさに溢れた言葉に、つい頬が緩む。


 続いて、ソフィアがやってきた。



「ハルカ……久しぶりね。無事でよかった……」


「ソフィアこそ。きっと、先陣切って戦ってたんでしょ?」


「まあね。だけど……ユーリから聞いたわ。あなたが沢山辛い思いをして、それでも私たちを助けてくれたんだって。結局、また助けられてしまった。……本当に、ありがとう」


「……」


「また会えてよかった。今度こそ、私がこの恩を返すわ」



 ふたりほどテンションが高くはないけれど、ぎゅっと私の手を何度も何度も握る。まるで、私の無事を確かめるみたいに。



「そうそう、あたしたちもユーリから聞いたのよ。ほんっと酷いことされたんだね」


「……まあ、全部魔族のせいだけどね」


「だとしても……それなのに、王国民(あたしたち)を助けてくれたの? ……あっ、その、傷つけたならごめん」


「それは大丈夫。だけど、助けるのは当たり前だよ! 王城の人たちは、まあ、あんな感じだったけど、みんながいなきゃ、私はここにいないもん。だから、これこそ恩返しなんだよ」



 私がそう言うと、一瞬の沈黙が流れた。あれ、何かおかしいこと言った?



「ハルカ……やっぱり凄いや」


「今更よ。私たちよりもずっと強い子だわ」


「言うの遅くなっちゃってごめんね。ハルカ、あたしからも、ありがとう」


「ありがとうございましたっ」


「そ、そんな……私こそありがとう。今までたくさんのこと教えてくれて」



 そんな言葉を交わしてから、しばし、他愛もない会話に花を咲かせる。



「そういや、ユーリ遅いね?」


「ああ、ユーリなら何か調べるって言って、一足先に森の方へ下見に行ったよ。またすぐ戻ってくると思う」


「さっすがハルカ、彼氏のことはよくわかってるね!」


「ちょっ……ステラ!」



 急いで彼女を制止しようとする。一気に顔が熱くなる。



「えっ、ユーリとハルカって付き合ってたの?」


「えー、ソフィア、知らなかったの?」


「そういう話には疎いのよね……まあいいんじゃない? お似合いだし」



 女子が集まるとこういう話題は避けられないらしい。少し離れたところでニヤニヤするリン様。これもお決まり。


 しかし……ひとり、忘れているような。



「あれ? ミーシャさん……も、メンバーじゃなかった?」


「あの子は遅刻魔だから仕方ないわ」


「ソフィアはミーシャに剣の特訓してもらってたんだっけ?」


「ミーシャの師匠に、ね。……悔しいこと思い出させないで、ステラ」


「うぐ、ごめんなさい」



 と、噂をすれば影が差す。



「みんな、お待たせ! あれ、ユーリは?」


「遅いわよ。ユーリは下見に行ってるらしいわ」


「ふーん、そっか。えー、眼福楽しみにしてたのにー」


「こらこら、ユーリの恋人の前でそれ言っちゃ」


「そうだった、いや冗談だよごめん! ……というか」



 遅れてきた少女は、そこで言葉を切ってこちらを見た。



「初めまして。ハルカちゃん、だよね?」


「えっ、は、はい」


「やだなー、固くならないでよ! 私はミーシャ。まあ剣姫って呼ばれてるからそっちが馴染みあるかな。一応Sランクの剣士です。よろしくね!」


「Sランクの巫女のハルカ……ハルカ・カミタニです。こっちこそ、よろしくね」



 目の前の少女――ミーシャは、屈託なき爽やかな笑みを浮かべる。


 キラキラした金髪のツインテールが揺れて、いかにも元気はつらつという感じの子だ。白銀色の軽そうな鎧を身に纏っている。剣術馬鹿で、剣術だけならソフィアさえ凌駕するって聞いたっけ。



「てか、ハルカ、いつの間にSランクになってたの!?」


「んー、王城の中でかな。毎日スキル使ってたし」


「なるほどね! あー、あたしの周りが軒並み強くなっていくよ……」


「ステラだって強いじゃん!」



 ちなみに、今の私のギルドカードはこんな具合だ。



『ギルドカード (リヒトスタイン支部発行)

 氏名:ハルカ・カミタニ

 年齢:18歳

 種族:ヒューマン

 職業:巫女〈S〉

 適性:光

 職業スキル:【神の光=7】【精霊使役=10】【神楽舞=10】【口寄せ=10】【加持祈祷=10】【精霊の加護=10】【テレパシー=8】【占星術=2】

 追加スキル:【光の矢=3】【光の壁=5】【光の盾=5】【光の加護=7】

 未取得スキル数:0』



 職業スキルの中にまだまだ伸びしろがあるにもかかわらずSなのは、追加スキルの分だけ加点か何かされているのかもしれない。


【テレパシー】は、謹慎期間中にリン様と話すのに使っていたものだ。あれもスキルとしてカウントされるとは知らなかった。また、【占星術】は、王宮の図書館で本を読んで試しにやってみたもの。夜空を見上げながら念じると、そこに幻想的な文字で運勢が浮かぶのだ。ロマンがあって気晴らしにはなるけれど、正直、神のお告げを直接聞く方が早いし信頼できる。



「【精霊の加護=10】はヤバいね。今度はあたしがハルカに教わる番だよー」


「ふふふ、まさか師匠に教える日がくるとは」


「お手柔らかにお願いしますっ」


「ハルカ先輩、私もお願いします!」



 一方、ソフィアの目線は違うところへ向かう。



「あら? ハルカも、魔法が使えるようになってたのね」


「うん! コグニス様の御加護を受けてね。……実は、ほとんど使ってないけど」


「そうなのね。……私、ハルカのおかげで魔法を使えるようになった時のこと、絶対忘れないわ」



 それから、さらに世間話をして、しばらく時間が経ってから。



「あ! ユーリだ!」



 よく知った姿を視界に捉え、私はぶんぶんと手を振った。彼もそれに気づいて手を振ってくれる。



「すまない、遅くなって」


「おー! 発起人の登場だ!」


「構わないわよ、ハルカと久々にゆっくりお喋りできて楽しかったし」


「きゃー、今日もかっこいい!」


「ミーシャ先輩、かっこいいのはわかりますけど、そろそろ黙った方がいいと思います」


「大丈夫大丈夫、見た目推してるだけだし。てかセレーナちゃん、言うねえ」


「……そうですか。なら仲間ですね。ハルカ先輩がなんと言うかわからないですけど」


「あぁー、ハルカちゃんが羨ましいなぁー」



 なんとも複雑な心境だ。


 彼氏がイケメンすぎるせいで!



「やっぱりユーリはモテるね……」



 ユーリが近くに来たタイミングで、そっと、彼にしか聞こえない声で呟く。つい、トゲのある声音をしてしまった気がする。



「さあな。まあ、俺にモテるのはハルカだけだが」



 さらりとそう言ってのける彼……いや、よく見れば、耳をほんのり紅くしている。


 ……ユーリの、このカワイイ一面を知っているひとなんて、きっと他に居ない。静かにときめきを噛み締めていたかったが、ステラが微笑みながらこちらを見ているのに気づき、慌てて表情筋を働かせて真顔に戻った。



「さて。これから魔国に乗り込むわけだが……いくつか対策がある」



 ユーリもまた、真面目な口調に戻って、話し始めた。

ガールズトークでした。次から本題に入ります。

あと、ユーリの周りがハーレム化していますが、それは私が男の子のキャラを描くのが苦手なだけでして……この通り、ユーリはハルカに一途なので他の子達のことは戦友としか見ておらず、多分もうこの先でハーレムっぽい展開はないと思います。少なくとも、この調子でいけば。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろうSNSシェアツール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ