九十八話
「ありがとう。お姉ちゃん達」
部屋を出ていこうとするラムちゃんを心配したミーシャが声をかける。
「あんなことがあったばかりだからお姉さんが送っていくよ」
ミーシャはラムちゃんの手を引いて部屋を出ていく。
「皆さんありがとうございます。我々は立場場誰かを特別扱いすることが難しいので」
「でもこれだと一時しのぎにしかならないですよね。師匠何かできることはないでしょうか」
「魔物を間引いてもまたすぐに増えるようですし困りましたね」
「外に出たがっている者に一定の強さを身に着けさせるしかないのではないか」
「ふむ。一理ありますね。低ランクの冒険者を集めることは可能ですか」
「可能ですが食うに困っている状態です。仕事を優先するかもしれません」
「それでは我々からの依頼という形を取って報酬をつけましょう」
「重ね重ねありがとうございます」
ギルド職員と話し合い適正な価格を決め早速明日から受け付けることにした。
話し合いが終わった後一人の男性が部屋に入ってくる。
「ギルドマスターどうしたのですか」
「ミーシャがいると聞いて来たんだが」
「ミーシャさんはラムちゃんを送りにでています」
「困ったな。王宮から応援要請がかかっていて信頼のおける冒険者にいって貰いたかったのだが」
「この方達はミーシャさんの仲間の人達です。お話されてみては」
「俺は王都マーモンド支部ギルドマスターのガウだ」
「ウィリアムと申します。王宮からとのことでしたね。直接話を聞いたほうがいいでしょう」
通信ようの水晶を取り出し王宮に繋げると宰相が出た。
『ウィリアム卿か。今丁度連絡を取ろうかと思っていた所だ』
『今冒険者ギルドにいるのですが応援要請を出すほどの何かが起きたのですね』
『うむ。貧民街で大規模な奴隷狩りが行われた可能性がある』
『これは宰相閣下の声が聞こえる』
『ガウ殿もおられるか。ウィリアム卿は信頼できる連携して事態に当たって欲しい』
『わかりました。貧民街の者が仕事を終えて帰宅したら待っている子供が消えていたと衛兵詰所に通報が複数ありました。報告を受けた王宮はこれを大規模な奴隷狩りと考え冒険者ギルドにも応援要請がありました』
『門を通った形跡は』
『ウィリアム卿そこは安心して欲しい。馬車の通行には手形が必要だ。それらしいものが通過した形跡はない』
『満足に食べられていない子供達の体力が心配ですね』
そこにラムちゃんを連れたミーシャが戻ってきた。




