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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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九十七話

「そこの男。子供相手に何をしている」

ラファエルが槍を片手に子供を庇うように立ちふさがる。

ミリアーヌは子供に回復魔法をかける。

「なんだお前らは関係のない奴は引っ込んでろ」

「随分と威勢がいいな。往来で騒ぎを起こしておいてそれはないだろ」

男に軽く殺気を飛ばす。

「その子供が俺の鞄を奪ったんだ。それを取り戻そうとして何が悪い」

子供に問いかけると首を横に振っている。

「違うと言ってるみたいだが」

騒ぎを聞きつけた冒険者ギルドの職員がでてくる。

「冒険者ギルドの前で騒ぎを起こすとは何事ですか」

職員に事情を説明する。

「ラムちゃんじゃないですか。危険だからダメだって言ったのに薬草を取りに行ったのね」

「うん。だってお金稼がないと御飯食べられないから」

見知った人に会って安心したのだろう泣きだしてしまった。

形勢が不利と見た男は逃げ出そうとするが逃げ道に回り込む。

「まぁまぁ。そんなに慌ててどこにいくんですか」

「邪魔だ。どけ」

なおも逃走しようとする男を鞘の付いたままの剣で頭を殴り気を失わせる。

首の近くの服を持ちズルズルと職員の元まで引っ張っていく。

「捕縛にご協力いただきありがとうございます」

「ウィリアムさんから逃げようって命知らずだよね」

明るい感じでミーシャが声をあげている。

「ミーシャさんじゃないですか。この人たちはミーシャさんの仲間の人達ですか」

「うん。そうだよ」

「人目もありますから中で話しましょうか」

ギルド職員に案内され応接室に通される。

ラムと呼ばれた少女は貧民街に住んでいて定期的に薬草をギルドに収めることで収入を得ていたがここ最近魔物が多くギルド職員は実入りは少ないが街の仕事を斡旋していたそうだ。

今日は仕事にあぶれてしまいしかたなく薬草を取りに外に出て戻ってきたところを男に難癖をつけられ鞄を奪われそうになったとのことだった。

職員が入ってきて取り調べの結果を教えてくれる。

「失礼します。あの男ですが問題を起こして冒険者ギルドを追放されていました。ラムちゃんが定期的に薬草を収めているのをしっていて闇市に流すつもりで奪い取ろうとしたようです。身柄は駆けつけてきた衛兵に渡してあります」

「ここ最近はこういった手合いが増えていましてギルドとしても困っているんですよ。王宮も手を打ってくれていますがこのままでは」

ギルド職員は言葉を濁してしまう。

「そろそろ私帰らないと。妹達が待ってるから」

「そうですね。ここで買取処理を済ませてしまいましょうか」

ラムちゃんが鞄から薬草を取り出しギルド職員がそれを鑑定して僅かなお金を渡す。

命がけで稼いだ額はごくわずかこれでは満足な食料を買うこともできないだろう。

無言でこちらを見てくる仲間達に頷きラムちゃんが持っていた鞄いっぱいに食料をつめて渡す。

「お姉ちゃん達いいの」

「これでも一流のパーティーですからね。子供は気にせず受け取ってください」


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