九十二話
「我らが神たる魔王様が再誕なされた」
「うぉぉぉぉ」
「待たせたな愚民共。して我の戦力となる僕はどこだ」
「ハイオークの群れを生成するのに成功していたのですが何者かに討伐されてしまいまして」
「なんだと。それでは人間共を掃討できぬではないか」
魔王と呼ばれた男は先ほどまで答えていた男の頭を握りつぶし投げ飛ばす。
「魔王様のお怒りはごもっともでございます。妨害した者達の住処には心当たりがあります」
「それを早く申さぬか」
「森のとある場所に接近しようとすると進みたくなくなるような不可思議な場所がございます」
「ふむ。結界の一種であろうな」
「我々も魔王様が来られる前に何とかしようと何度かハイオークの集団を送ったのですが戻ってきたものはおりませんでした」
「中々の手練れがおるのは間違いないな」
「現在残ったハイオークをその空間周辺に潜ませております」
「襲撃の準備は整っているわけだな」
「ははっ。魔王様の号令一つでいつでもいけます」
「では我がその結界を無効化してやろうぞ」
◆◆◆
惰眠を貪っていると結界の破れる感触で目を覚ました。
居間に出ると出撃準備を整えたセバスチャンがいた。
「ウィリアム様結界は破られたようでございます」
「こちらでも感知した。すまないが他の者を起こしてから追いかけてきてくれ」
「かしこまりました」
屋敷を後にして結界の破られた方向に走っていく。
走りながら油断なく探索魔法を使うと周辺はおびただしい数のハイオークに囲まれているようだ。
かなりの数を討伐したはずだがよくぞここまで残っていたものだ。
「はは。お前がこの結界を張った張本人か」
頭に角をはやした男が偉そうにのけ反っている。
「貴方は何者ですか。人ではないようですが」
「よくぞ聞いた。我は魔王である。人間共の街を滅ぼす前に貴様からあの世に送ってやろう」
男が指図すると周囲にいるハイオーク共が前進してくる。
「魔王というには手札がしょぼいですね」
魔法を発動してハイオークを排除しようとするが何故か発動しない。
顔に驚きを出さないように剣を抜き切り裂いていく。
「驚いたようだな。顔に出さないとは中々食えぬ奴だ」
「魔法を封じたぐらいで私に勝てるとでも」
「人間に限らず強者は少なからず魔法の恩恵を受けているものだ。その恩恵を消し去ってしまえば雑魚と変わらぬ」
魔王は喋りながらもハイオークをけしかけ続けていた。




