八十二話
宰相に詳しい説明をしようとしていると国王陛下が部屋に入ってきた。
「遅くなってすまんな」
「いえ。お忙しいところにすみません」
「構わぬ。机の上に置かれているそれはなんじゃ」
宰相が代わりに応えてくれる。
「邪教の魔王信奉者が身に着けているペンダントでございます」
「邪教とな。それをウィリアム卿が持ってきた。何かあるのか」
「まず落ち着いて聞いて欲しいのですが魔王は実在します」
「空想上のものかと思っていたが実在するのか」
「私は悪魔を使役しているのですがその者の話では魔界における貴族の総称とのことなのです」
「仮に実在するとして信奉者共とどうつながるのだ」
「私が見つけた信奉者は魔力濃度を引き上げ魔物が繁殖するように調整をした魔法陣を操っているようでした」
「なんと。では今王国中で魔物の被害が増えているのは人為的なものなのか」
「話には続きがあります。魔界には長い年月をかけてこちら側にわたる為の魔法陣があり魔王達が渡ってくる習慣があるのです。魔王達は魔物を使役して人間を殲滅し神界を追放された破壊神を解放しようとしているのです」
「なんだかスケールが大きくなってきたが魔王信奉者は魔王達がきたときすぐに動き出せるようにその土壌を作っていると」
「そういうことになります」
「破壊神うんぬんは置いておくとして魔物を増やされてはかなわないな。すぐに魔王信奉者達の摘発をすすめよ」
「そのように手配いたします」
「何かあれば対応するつもりでいますが軍備を増強したほうがいいでしょう」
「貴族達には魔物対策ということで軍備に力を入れるように指示をだしましょう」
「ウィリアム卿。貴重な情報に感謝する。これで場当たり的に対応するしかなかった魔物対策に手を打てる」
「それでは私は弟子達が心配なので戻りますね」
「何かあればまたきてくれ」
笑顔で見送ってくれる国王陛下と最初に見送られて屋敷に転移する。
転移するといつもは屋敷の中で迎えてくれるセバスチャンが森の方から戻ってくるところだった。
「ウィリアム様おかえりなさいませ。このような場所で失礼いたします」
「構わない。それよりもまた襲撃か」
「はい。ミリアーヌ様達に害が出ぬよう結界に入ってすぐの場所で対応いたしました」
「ミリアーヌとミーシャはもう戻っているのですね」
「部屋でお寛ぎしているはずでございます」
玄関を開け居間に入るとケーキと紅茶を楽しんでいる。
「ただいま戻りましたよ」
「師匠。おかえりなさい」
「ウィリアムさんお疲れ様です」
「怪我はないようですね」
「あの程度なら余裕です」
楽し気に狩りの成果を語る二人であった。




