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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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七十九話

服などを見てまわりたいという二人に十分なお金を渡しお昼に中央広場で待ち合わせをして別れた。

市場をうろうろしているとお茶の試飲をしている露店に巡り合う。

「そこのお兄さん一杯どうですか。アスカ皇国さんのお茶ですよ」

店員からコップを受け取りお茶を飲んでみる。

「変わった味ですがすっきりしていて美味しいですね」

「お口にあったようでよかったです。

店員はにっこり微笑んでくる。

「全種類を貰いましょうか」

「全種類ですか。ありがとうございます」

店員に代金を支払い袋詰めされたお茶を受け取っているとガラの悪い男達が近づいてくる。

「おうおう姉ちゃん。誰の許可を取ってここで商売してるやがる」

店員は困惑しつつも言い返す。

「代表の方にはちゃんと許可を頂いていますが」

「表の代表なんてどうでもいい。ここは俺らの縄張りだ」

「そうは言われましてもどうしたら」

「物分かりの悪い姉ちゃんだな。場所代を払えと言ってるんだ」

「王都のマフィアもずいぶん落ちぶれたものだな」

わざと毒のある発言をして挑発する。

「なんだと」

ガラの悪い男達の中でも若い奴が喧嘩腰になる。

「落ち着け。兄ちゃん関係のない奴は黙っていたほうが身の為だぜ」

「どう身の為なのか教えて欲しいものですね」

「このなめやがって」

若い男が殴りかかってきたので手で受け止める。

「危ないじゃないですか」

「俺達の商売舐められたら終わりだ。やっちまえ」

殴りかかってくる男達の攻撃を避けながら店に被害が出ないように通りの中央に誘導する。

喧嘩に気付いた人たちが避け自然と空間ができる。

しばらく相手をしていると騒ぎを聞きつけた衛兵がやってくる。

「お前たち何をしている」

衛兵を見て逃げようとする男達を魔法障壁で妨害する。

「なんだ通れねぇ」

男達と共に衛兵に包囲され逃走を諦めた男達は暴れるがすぐに捕縛される。

お茶屋の店員が衛兵に事情を話してくれる。

丁寧に対応してくれる衛兵に貴族証を呈示する。

「お貴族様でしたか。おい、こいつら貴族への暴行罪の現行犯だ」

衛兵達の空気が変わる。

「それでこいつらはどうしましょうか」

王国における貴族の権限は大きい。

無礼撃ちとしてこの場で斬り捨てられても文句はいえない。

その後の評判に悪評がつくことを気にしないのであればという但し書きがつくが。

「処分はそちらにお任せします」

「はっ。厳罰に処します」

衛兵達は男達を連れてこの場を去っていった。

お茶屋の店員が声をかけてくる。

「あの。ありがとうございました」

「いえいえ。また来させて貰いますね」

そろそろ時間だろうということで広場に向かうことにした。

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