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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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七十八話

王城を出た後教えられた道を進んでいるといかにもといった建物にたどり着く。

中からはカンカン音が聞こえている。

扉を潜ると店員がこちらを値踏みするような目線を向けてくる。

「いらっしゃい。一元さんはお断りなんだが」

「王城からの紹介できました」

「あんた達がそうか連絡は貰ってる。親方を呼んでくるから待っててくれ」

店員が引っ込みすぐに年配の男性がやってくる。

「待たせたな。王族に献上するつもりで対応してくれと言われている」

ミーシャが緊張して耳と尻尾がピンと立っている。

「よろしくお願いします」

「ロープを来た二人は魔術師って感じだな。ってことは獣人の嬢ちゃんの剣が必要だってことだな」

ミーシャを値踏みするように眺めている。

「腕は悪くなさそうだ。今まで使っていた剣を見せてくれるか」

「これです」

ボロボロになってしまった剣を男性に渡す。

「中々いい剣だが何を相手にしてこうなった」

「リザードマンと大蛇です」

「なるほどな。かなりの数を狩ってこうなったんじゃないか」

「剣を見ただけでよくわかりますね」

「長年の経験って奴だ。この剣は寿命だな折れてないのが奇跡的な状態だ。打ち直してもすぐダメになるだろう」

「気に入っていたのですが残念です」

「作ったのはいいが担い手がいない状態の剣が何本かある。すぐに持ってこよう」

男性は一度下がると何本かの剣を持ってくる。

「抜いてみてもいいですか」

「あぁ。構わんじっくり見てくれ」

男性の許可を取るとミーシャは迷いなく手に取り鞘から抜き真剣な表情で刃を見ている。

ミーシャの横から眺めているが希少な鉱石をいくつか合金したいい剣に見える。

合金にすることで粘りが出てより硬く鋭くなり折れにくくなる。

「素晴らしい合金ですね」

「見ただけでわかるのか」

「比率まではわかりませんが」

「比率は企業秘密だからな」

しばらく眺めていたミーシャは二本の剣を取る。

「これとこれにします」

「代金は王宮持ちだ。持っていってくれ」

「店先を少しお借りしても」

「構わんがどうするんだ」

「付与魔術を施そうかと思いまして」

「兄ちゃんは付与魔術が使えるのか」

ミーシャから剣を受け取る。

剣の出来がいいので単純な物がよいだろうと斬撃強化と耐性強化の付与を施す。

「出来ましたよ」

「手際がいいな。参考までに何を付与したか聞いてもいいか」

「剣の出来がよかったので斬撃強化と耐性強化だけですね。余計な付与をしていないので通常よりも効果は大きいですよ」

ミーシャに剣返すとお礼を言ってきた。

「ウィリアムさんありがとうございます。大切にしますね」

一本を腰に差しもう一本をマジックバックにしまう。

「あんた達ならいつでも歓迎だ。また来てくれ」

男性にお礼をいって鍛冶屋を後にした。

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