七十六話
ヘロヘロに疲れた二人を連れて屋敷に転移する。
玄関を開けて入るといつものようにセバスチャンが出迎えてくれる。
「おかえりなさいませ。お二人はずいぶんお疲れのようですね」
「夕飯は疲れていても食べられる物を頼むよ」
「そういうことでしたらスパイスの効いたスープシチューにいたしましょう」
「二人は疲れていると思うので解体所に荷物を置いたら休んでいてください」
「師匠はどうするんですか」
「ある程度解体してしまいたいですからね」
「冒険者ギルドに解体を任せてしまえばいいのでは」
「解体しきれない量を持ち込むと拒否されるときがあるんですよ」
「なるほど。処理が追いつかないと素材をダメにしてしまうからですね」
「そもそも処理しきれないほど狩れることがおかしいんですよ」
会話しつつも二人は狩りの成果を積み上げていく。
「これで最後です」
「私の方もこれで最後ですね」
「お疲れさまでした。ゆっくり休んでくださいね」
解体所は大き目な部屋なのだがその部屋がいっぱいになってしまった。
スペースを作る為にある程度収納魔法に収める。
場所を取っている大蛇から解体を進めていく。
大蛇と一口にいっているが毒を持つものから薬になる種類まで様々な種がごっちゃになっている。
それぞれを適切に処理するのは中々骨が折れる。
しばらく作業を続けているとセバスチャンが声をかけてくる。
「ウィリアム様お食事の用意が出来ました」
「わかりました。切りのいい所まで進めてからいきますので二人には先に食べるようにいってください」
「私がかわりにやっておきますのでウィリアム様もお食事にされてはいかがでしょうか」
「そういうことでしたら後はお任せしますね」
解体所を後にして居間に入ると席についた二人が待っていた。
「お待たせしました。食べましょうか」
「はい。いただきます」
程よくスパイスが効いており食欲をそそる。
気が付けばパクパク食べていた。
食事を終え解体所に向かうとセバスチャンが手際よく解体している。
「お食事はお楽しみいただけたでしょうか」
「いつものことながら美味しかったですよ」
「それはようございました」
セバスチャンと入れ替わり解体所に入り作業を再開する。
出しておいた分の大蛇の解体がようやく終わった。
ミーシャの剣を新調するなら王都に行った方がいいだろうと考え王宮への献上用に鞄を十個ほど作り空間拡張と時間停止の魔法をかける。
解体を終えた素材を収納魔法に収め未処理のリザードマンと大蛇を並べていく。
これで手隙の時にセバスチャンが解体してくれるはずだ。




