七話
「すまない、あんた収納魔法持ちだろ。よかったら俺たちとパーティーを組んでくれないか」
「せっかくのお誘いだが、誰かと組むつもりはないんだ」
「いや、無理を言ってすまなかった。だが収納魔法を大っぴらに使うのはやめといたほうがいいぜ。変な奴らもよってくる」
「警告感謝する」
そう言い残して冒険者ギルドを後にした。
◆◆◆
「ダッカス、振られてやんの」
「ダメ元で誘ったんだ。それに警告する方がメインだったからな」
「見ない顔でしたね。最近この街に来られたのでしょう」
「そんなことより、依頼探すぞ」
彼らスリーピング三人組はロッテムハルト専属であり不人気依頼の処理を優先する冒険者ギルドにとってありがたい存在だった。
◆◆◆
森の中で何泊かすることを考えて食料品を求め再び市場を訪れた。
調理済みの物から果物など手軽に取れる物を収納魔法の中に次々入れていく。
十分な量の食料を買い終えて明日、森に採取に行くことを決め門前宿を目指しているとつけてくる気配に気づいた。
人数は三人、宿屋まで着いてこられても困るため路地に入り対応してしまおうと決める。
「こそこそついてきているのはわかっている。でてこい」
いかにも冒険者といった風情の三人組が現れる。
「お前、俺達と組んで一儲けする気はないか」
「悪いが誰かと組むつもりはないんだ」
「そんなこと言わずに一人だと何かと大変だろ、俺達そこそこ強いんだぜ」
市場で収納魔法を使いすぎて目をつけられたのだろうか。
警告に従わなかった結果ではあるが人目を避けて収納するのはめんどくさすぎる。
「君達と私では実力差がありすぎる、組むメリットが見当たらないな」
正直な所見を述べたはずなのに相手は顔を真っ赤にしてプルプル震えている。
「後ろから魔法を撃つしか能のない魔術師風情が言ってくれるじゃないか」
「兄貴、軽く締めて実力をわからしてやったほうがいいですよ」
どうやら相手は実力行使にでてくるようだ。
事実を事実のままに言っただけだというのに本当にめんどくさい連中だ。
小柄な男が指をパキパキ鳴らしながら殴りかかってくる。
当たる瞬間に霧化の魔法で相手の拳を回避する。
すり抜けてしまった相手は不可思議な現象にあったと言わんばかりにこちらを見てくる。
「な、なんですり抜けて」
「変な術を使いやがって三人でとにかく殴り続ければ」
私を中心に三角形を形成しひたすら殴りかかってくる。
その全てを霧化の魔法で回避しながらどうしたら諦めてくれるのかを考える。
「ぜぇぜぇ、こいつの魔力は底なしか」
腐っても大賢者と言われた私だ。
この程度の魔術は児戯にも等しい。
彼らの体力切れで幕切れかと思ったら騒ぎを聞きつけて衛兵が駆けつけてきた。
「若い男性が素行の悪い三人組に殴られていると聞いてきたんだが」
ぴんぴんしている私に呼吸を荒げている三人組に戸惑いながら話しかけてきた。
「パーティーの誘いを断ったら殴りかかってきて困っていたんです」
「そうですか、取りあえずこの三人は街中で暴力騒ぎを起こしたということで捕縛しますがあなたからも詳しい話を聞きたいので詰所に同行していただいてよろしいですか」
「構いませんよ」