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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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六十三話

ダッカス達を屋敷の居間に案内する。

セバスチャンが疲労回復効果のあるハーブティーを人数分給仕してくれる。

「森を抜けてくるのは大変だったでしょ」

「ここまで来るのに1か月以上かかりましたね」

「最初は低級の魔物しかいなかったのに奥に入るほど強力な魔物が徘徊してやがってな」

「ウィリアムさんこちらの方々は」

「ミーシャは会うのがはじめてでしたね。ロッテムハルト所属の冒険者ですよ」

「スリーピングのダッカスだ」

「ロンと申します」

「フェンだよ」

「王都の所属だったミーシャです」

「自己紹介も終わった所でなんでまたこんなところに」

「ロッテムハルト伯爵家が冒険者ギルドに大賢者の研究資料を探してきて欲しいって依頼を出していてな」

「アーネストさんからその話は聞いていましたが何か問題が起きたんですか」

「懸賞金目当てで依頼を受けて消息を絶つ奴とか戻ってきたのはいいものの冒険者をリタイアする奴が続出してな」

「冒険者ギルドとしてはこれ以上の犠牲者を出せないと判断したんでしょうね。我々に指名依頼が出されてここに来たということです」

「おいらたちも一歩間違えたら行方不明者の仲間入りしてたところだけどね」

「こちらがギルドマスターからウィリアムさんに渡すよう頼まれた手紙です」

「拝見しますね」

『ウィリアム・フォン・マクロード大公爵閣下。

ロッテムハルト伯爵から閣下の屋敷から研究資料を探して欲しいという依頼が出ております。

正式な書類を受理しているためにロッテムハルト伯爵からの依頼を冒険者ギルドとしては断ることができません。

懸賞金目当てでこの依頼を受け行方不明になるもの冒険者を引退する者が後を絶ちません。

これ以上の冒険者の被害をギルドとしては看過できませんので当事者である閣下にロッテムハルト伯爵を止めてはいただけないでしょうか。

ロッテムハルト冒険者支部ギルドマスター シフォン・ウィットニー』

「実害がないから放置していたのですが冒険者ギルドに多大な迷惑をかけていたようですね」

「冒険者は自己責任ではあるんだがな」

「ギルドの戦力が低下すれば他の依頼にも影響がでますからね」

「結局どういうことですか」

首をかしげているミリアーヌにミーシャに答える。

「貴族として対応して欲しいということですね。この屋敷はもちろんですがマクロードの森に冒険者を送り込むのはグレーゾーンではありますが領地を侵犯していることに変わりはありません」

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