六十二話
ミーシャが加入した翌日改めて彼女の実力を確かめる為、庭で向かい合っていた。
「こちらからは攻撃しないので攻撃してきてください」
「遠慮なくいかせてもらいますよ」
素早い動きで斬りかかってくる。
防御障壁を展開して防ぎきる。
「これならどうですか」
ミーシャの姿が消えたかと思ったら後ろや横から攻撃が飛んでくる。
幻術の類だろうと推測して目に頼るのではなく探索魔法で気配を探知して対応していく。
「むぅ。防御を抜けないのです」
ミーシャは距離を取り悔しそうな顔をしている。
「そろそろこちらからも攻撃しますよ」
腰に下げていた剣を鞘から抜き構える。
「魔術師に剣で負けるわけにはいかないのです。受けて立ちます」
正面からミーシャに近づき上段から剣を振り下ろす。
それを難なくかわし反撃にでてくる。
剣を引き戻しそれを受け流し流れるように攻撃を繰り出していく。
防戦一方になったミーシャは肩で息をしている。
「ぜぇぜぇ。本当に魔術師なんですか。一流の剣士のような腕前をしているじゃないですか」
「わぁ。師匠って剣の腕も一流だったんですね」
「ウィリアムさんまだ余裕がありますよね。手加減されてこれって剣士としてのプライドを傷つけられた気分ですよ」
「腕前を見るのが目的ですからね。本気でやって怪我をさせるわけにもいかないですしこの辺で終わっておきましょうか」
「ありがとうございました」
「おつかれさまでした。お水をどうぞ」
ミリアーヌが魔法でコップに水をいれ手渡してくれる。
その時結界に侵入者の反応がある。
「お客さんのようですね。これは冒険者でしょうか」
探索魔法を反応のあったほうに向けると見知った魔力反応を探知した。
「お客さんってこんな森の中にですか」
「知り合いのようですのでちょっと迎えにいってきますね」
警戒しているのかゆっくり進んでくる三人組に声をかける。
「ダッカスさんフェンさんロンさんこんなところに何用ですか」
「ウィリアムか。ギルドマスターからこのクエスト受けるなら手紙を持っていけって言われたときはなんでだと思ったが本当にいるとはな」
「三人ともボロボロですね。今屋敷に案内しますのでゆっくり休んでいってください」
「助かります。ここの森は恐ろしいですね。逃げ隠れするのがやっとでした」
「おいら死ぬかもと何度も思ったもんね」
疲れ切った様子の三人を屋敷に案内した。




