五十七話
フォローを入れながらゴブリンの集落やウルフの群れを狩り続けた。
この辺の生態系は特に変化はないようだ。
「そろそろお昼時ですし休息をかねて昼食にしましょうか」
「師匠。疲れましたよ。冒険者ってこんなにハードなんですね」
「普通の冒険者はここまでハイペースでは狩らないですよ。探索魔法で探知できるので彷徨うことがないからこそですね」
「森の中を彷徨って戦闘ってそれはそれで大変そうですね」
収納魔法からサンドイッチを取り出して手渡してから疲れの取れるハーブティーを魔法で二人分入れる。
「魔法を学んでわかりましたけど師匠がさりげなくやっている飲み物いれる魔法ってすごいですね」
「洗い物とか減って便利なんですよね」
重力魔法やら熱する為に火の魔法などいくつも併用しているので難度としては難しい部類に入る。
「魔力には余裕がありますよね」
「そうですね。魔力には余裕があります。慣れない事で疲れはしましたけど少し休めばまだまだいけそうです」
「午後からは少し敵の強さをあげてみましょうか」
サンドイッチを食べ終え少し休憩を取った後少しだけ森の奥に足を踏み入れる。
「師匠。先ほどいた場所と雰囲気変わった気がするんですけど」
「ここの森は奥へ入れば入るほど魔力濃度があがるんですよ」
「お屋敷って結構奥の方ですよね」
「屋敷の周辺には結界を張ってありますからね」
探索魔法にはオークの群れにホブゴブリンの群れベアが数頭により取り見取りである。
「さぁ。張り切って狩っていきましょうか」
夕方近くまで狩り続けミリアーヌの腕はかなり上がったように思える。
「今日はこの辺にしておきましょうか」
「師匠。魔力ももうほとんど残ってないです」
「今日は夕食の後念入りに瞑想をしてくださいね。それでは屋敷まで飛びますよ」
転移の魔法で屋敷まで飛ぶ。
玄関を開くとセバスチャンが出迎えてくれる。
「おかえりなさいませ。夕食のご用意ができております」
「ありがとう。素材を整理してからいただくことにするよ」
ミリアーヌを解体用のスペースに案内して今日の成果を確認する。
「こうやってみるとかなりの数を狩ったんですね」
「よく頑張りましたね。それでは夕食にしましょうか」
居間に移動すると料理の美味しそうな匂いが立ち込めている。
「本日は疲れていると思いましたので野菜スープに体力をつける為にステーキをご用意いたしました」
「いただきます。はっむ。いつ食べても絶妙な火加減で美味しいです」
「それはようございました。お代わりもございますよ」
教会の教育の賜物だろう。
すごい勢いで食べているが上品に食べている。
「野菜スープのお代わりをお願いします」
丁寧に下処理をして長時間煮込んだのだろう。
野菜のうまみが出ていて絶品に仕上がっている。
美味しそうに食べているミリアーヌを見つつ今日の狩りを振り返る。
まだまだ危なっかしいところもあるが数をこなせば一人でも十分やっていけるようになるだろう。




