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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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三十七話

王太子殿下の援軍が間に合い陣地の中では生き残った兵士と傭兵が一緒に祝杯をあげている。

杯を片手に傭兵達の輪に加わり久しぶりの酒精を味わう。

「ウィリアム様飲んでいますか」

ほんのり顔を赤くしたミリアーヌが近づいてくる。

杯を掲げながらそれに答える。

「程々にしておけよ」

「こうみても私お酒には強いんですよ。それはそうとウィリアム様にお願いがあるんです」

「お願いですか」

「私を弟子にしてください」

「弟子にですか。教えるのは構いませんがどうしてまた」

「少し教えていただいただけで私の腕は劇的にあがりました。ウィリアム様についていけばもっと多くの人を救えるようになると思うんです」

「ウィリアムいいじゃねぇか。こんなかわいい弟子ができるなんて羨ましいぜ」

「アルベドさん。ダメだとは言ってないじゃないですか。問題は教会での彼女の立場です」

「教会での立場ですか。私なんて下っ端ですよ」

「今回多くの人を助けたのです。評価されて立場があがるでしょう」

「立場があがってもなぁ。教会を辞めてでも私はウィリアム様についていきます」

「覚悟はわかりました。引き受けましょう」

「それじゃぁ。我らが聖女様とウィリアムの新しい関係に乾杯」

「乾杯」

アルベドと周囲の傭兵達は杯を打ち鳴らし酒をぐびぐび飲んでいく。

宴は朝方近くまで繰り広げられ今はみんな寝入っている。

コーヒーを飲みながら今後の事を考える。

ハリー王太子には正体を明かしたので王宮に呼び出されることになるだろうか。

八百年前は面倒ごとを押し付けられもしたが良好な関係を築いていた。

今代の王はどうであろうか。

聡明な王であることを願いながら朝日が昇るのを眺めていた。


「ウィリアム殿は朝が早いな」

「ハリー王太子こんなところにどうしたのですか」

「目が覚めてしまったので朝の散歩だ。少し付き合わないか」

「構いませんよ」

二人連れだって防壁の上にのぼる。

「ここなら他の邪魔は入らないだろう。大賢者様はあまり正体を明かしたくないように見受けられるのだがどうだろうか」

「そうですね。私が大賢者だといっても周りの者は信じられぬでしょう。仮に認められたとして厄介ごとが舞い込んでくる可能性もある」

「面倒ごとを嫌がっていながら何故今回は戦争に参加してくれたのですか」

「貴族としての義務だからですよ」

「確かに我が国の貴族法にはそのようにありますがひっそり暮らすことも可能だったはずです」

「アーカディア帝国にロッテムハルトを取られると少し面倒なことになる。それだけですよ」

「何かお望みのことはないのでしょうか」

「そうですね。私はここから北にいった森の中に住んでいるのですが素材等の採取の許可を頂きたい」

「連絡の不備で王国の直轄領になっていますが元々大公爵領です。お返しすることを約束しましょう」


王太師

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