三十三話
対話できるとは思っていなかったが騎士と思われる二人がいきなり斬りかかってくる。
霧化の魔法で回避し土魔法で串刺しにする。
「化け物め。これでも食らえ」
魔術師が何の躊躇もなく火の魔法で攻撃してくる。
森で火魔法とは後先考えない奴だと思いながら水魔法で瞬時に迎撃していく。
迎撃したのを隙と見たのか残った騎士のうち一人が飛び出してくる。
飛び出してきた騎士の頭をつかみ威力を調節した電撃を打ち込み意識を刈り取る。
勝てないと思ったのか魔術師と残った騎士が逃走しようとするがそれを許さず風魔法で首を切断する。
戦闘はあっけなく終了した。
捕虜とした男を担ぎ飛行魔法で飛翔し引き上げる。
そんなに時間をかけたつもりはなかったが陣地にたどり着いたのは日が昇りかける頃だった。
見張りをしていた兵士に手をあげ挨拶しながら捕虜を引き渡す。
尋問は他の者に任せ戦利品である馬車の残骸から回収した物資を出していく。
「ウィリアム殿、私には休むように言っときながら何をしているんですか」
話しかけてきたギリアムの顔色は大分すっきりしている。
「ギリアム殿おはようございます。昨夜はよく眠れたようですね。私なら問題ないですよ」
「見張りの兵士からウィリアム殿が捕虜を抱えて戻ってきたと聞いたんだが」
「補給線を確保する為に襲撃地点に出向いて使えそうな物資を回収して犯人を一人確保してきただけですよ」
「補給の妨害はやはり敵軍の手の者だったということか」
「これで後顧の憂いなく籠城できますね」
◆◆◆
「閣下、予備兵が本日の昼には到着します」
「そうか。これでこの攻城戦にも終止符が打てるな」
「ロッテムハルトを攻めることを考えますと力攻めではなく包囲のほうがよいでしょう。幸い相手の補給は絶つことに成功しておりますのであと数日もすれば降伏してくるかと」
「趣味ではないが後のことを考えるとそれが最善か」
◆◆◆
ギリアムとウィリアムは主だった者達と昼食を取りながら敵の動きについて話し合っていた。
「連日の力攻めが嘘のように攻めてきませんね」
「相手の狙いはなんなのかそこが重要だ」
「ただの休養であればいいのですがこちらも今のうちに兵士を休ませておきましょう」
そこに物見に立っていた兵士が報告にやってくる。
「敵軍に動きがありました。意図に関してはまだわかりませんが防壁に来てはいただけないでしょうか」
「お前たちは元の部署へ戻りすぐ動けるように準備しろ。ウィリアム殿は一緒に来てくれ」
ギリアムと連れだって防壁の上で登る。
「これは攻めてくるようではないようだが」
距離を取りながら陣地を囲むように移動してくる敵兵。
「相手はこちらが補給を受け取れていないのをしっていますので全方位包囲による兵糧攻めかも知れません」




