三話
屋敷から飛行魔法を使って近隣の街であるロッテムハルトを目指し飛翔していく。
転移の魔法も使えたが街の規模が変わって住民に転移直後に不意遭遇する可能性を考えると躊躇われた。
「ふむ、身体の調子は悪くないな」
長期間眠っていたこともありどこか不具合がないか確認しながらも夕刻頃にロッテムハルトの外壁を視認し森の中に着地する。
門を目指しながら門の上に掲げられた旗を確認しマキート王国の物であることを確認する。
数々の功績から名誉大公爵位の証も持っていたが一代限りの証をぱっとみ若造の自分が持っていることが知れれば無用な騒ぎにつながると考え一般入門者の列に並ぶ。
しばらくすると自分の番になる。
「見ない顔だな、身分証はあるか」
「最近、田舎から出てきたもので持ってないです」
「なら、入門税は銀貨一枚だ。滞在期間は五日間、延長申請はそこの詰め所で銅貨一枚で五日間だ」
「ありがとうございます」
礼を言いながら門番に入門税を支払う
「身分証がないと不便だろうからどこかのギルドで発行して貰うといい」
「どこのギルドがお勧めですかね」
「審査を考えると冒険者ギルドが一番無難かな。この通りをまっすぐいって剣をクロスさせた看板があるところがそうだ」
門番に改めてお礼を言いながら冒険者ギルドを目指すことにした。