二十七話
ミリアーヌと御飯を食べながら雑談に興じる。
今日のメニューは固いパンに肉と野菜をよく煮込んだスープだ。
肉の臭みを取るためだろう香料が少しきついが作った人の腕は良いようだ。
「ウィリアムさんはどうしてこの戦争に参加したんですか」
「日給目当てといった所かな」
「日給ですか。ウィリアムさん程の腕があれば他でもいくらでも稼げそうですが」
「新人冒険者ですからね。それ程稼げないのですよ」
目をぱちくりさせながら訪ねてくる。
「ウィリアムさんが新人・・・。嘘ですよね」
「運よく短期間でCランクまで上がれたけど新人で間違いないですよ」
「むぅ~、治療も的確でしたし経験豊富なベテランにしか見えないですよ」
「それなりの経験があるのは否定しませんけどね」
「冒険者になる前は何をしていたんですか」
「田舎に引きこもって魔術の研究とかですね」
「魔術の研究ですかそれで色々な魔術を使えるのですね」
食事を終え魔法で疲れの取れるハーブティーを二人分入れ片方をミリアーヌに渡す。
「ありがとうございます。ウィリアムさん器用ですね」
◆◆◆
「当てにしていたゴーレムは敵軍に接触する前に壊滅し力押しも通用しないとは」
「閣下、申し訳ありません」
「謝罪はいい。ゴーレムの暴走理由はわかったのか」
「暴走したのは遺跡から回収してきた物だけです。我々より上位の命令権が発動したのかもしれませぬ」
「奴らが使っていた宝珠はこちらが持っているのだ。そんな可能性はあるのか」
「作成者本人かそれに近しい者がいるのかもしれません」
「大賢者がいたのはもう八百年は前だ。弟子がいるという話も聞いたことがないがその流れを組む者の存在か」
「そうですね。相手は軍縮により数が減じているのは確かなはずですが、こちらの魔術を防いだ魔術障壁にこちらの魔術師を的確に攻撃してきた攻撃魔法。優れた魔術師がいるのは間違いないでしょう」
「このまま正面から挑んでいてもこちらの兵力が減っていきかと言って砦を無視して進軍するのも難しい」
「斥候の話では砦が建設される前に確認した相手の備蓄は少ない模様。後方から随時補給するつもりだったのではないかと」
「つまり補給を絶てば相手は干上がるということだな」
「その通りです。少数精鋭で森を抜け補給部隊を襲わせてはどうでしょうか」
「適任者はいるのか」
「ゴーレムを率いていた部隊に召喚術に長けた者がおります。ゴーレム部隊は壊滅に近いですしその者に護衛をつけて潜伏させてはと」
「許可しよう。私の護衛から何人か引き抜きその者に同行させる」




