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老賢者は始祖になる  作者: 髙龍


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二十四話

イニツァー平原。

マキート王国とアーカディア帝国との間にある緩衝地帯。

過去幾度となく両国が領土を巡りぶつかった平原である。

ここを北に行った森の中にウィリアムの屋敷はあるのだが多くの魔物が生息するため採算が取れず両国共にあえて手を出すことはなかったのだが珍しい物が取れ人目を避けて研究するのにも丁度良かったので住み着いたのである。

夕方近くになり先発していた正規軍の陣に到達した。

陣の構築がまだ終わっていないらしく軽装をした軍人が忙しそうに動き回っている。

少し距離を取った所で止まりアルベドが代表してどうするのかを陣の中に入って聞きにいくことになった。

陣の規模から正規軍の数が記憶の中よりかなり少なく感じる。

まともにアーカディア帝国とぶつかればまず勝ち目はないだろう。

しばらく陣地構築の様子を眺めているとアルベドが戻ってきた。

「陣地の端に先発組の傭兵集団があるからそこで指示を受けろだとさ」

陣地の端を眺めれば不揃いの装備をした少数のグループがあることに気づく。

そちらに向かって移動していくと見張りをしていた男が声をかけてくる。

「後発の傭兵集団で間違いないな。今まとめている奴を呼んでくるから少し待っててくれ」

そのまま男は走って去って行く。

しばらくすると筋肉質な男を連れて戻ってきた。

「俺が取りまとめ役のグーカスだ。今は見ての通り陣地構築の真っ最中だ。ここで時間を稼ぎ援軍としてやってくる領軍を待つことになる」

傭兵達がいる陣地は歪だ。

慣れない陣地構築を正規軍の見様見真似で作業していたのだろうと察しられる。

「あまりうまく進んでいないようですが」

「これでもみんな頑張ってくれてるんだがな経験がない以上しかたない」

「よければ私が魔法で補強をしましょう」

「少しでも防御力があがるならありがたい。頼んでもいいか」

「では早速取り掛かることにしましょう」

陣地の端まで移動すると土魔法を使って堅牢な土壁を作っていく。

土壁の前には溝を掘り簡単に登ってこれないようにする。

中に十分なスペースを作り正面だけでなく横と後ろにも同じように処理を施していく。

出来上がったのはちょっとした砦である。

作業を終えて遅めの晩御飯を取っていると正規軍の兵士を連れたグーカスがやってくる。

「飯中にすまない。陣地構築をした奴に合わせろってうるさくてな」

「この見事な城壁を気付いたのはあなたですか。指揮官が話したいことがあると」

「わかりました」

食事を中断し兵士についていく。

ひと際豪華な作りの天幕にたどり着くと兵士はそこに入っていく。

「司令官。例の者をつれてまいりました」

「ご苦労。休んでくれ」

兵士は敬礼し天幕を出ていく。

「私はギリアム・ロッテムハルトという。名を聞いても」

「ウィリアムと申します」

「そうか。ウィリアム殿に頼みたいことがあるのだが」

「陣地の構築でしょうか」

「話が早くて助かる。我々は少しでも長くこの地に留まり敵の進軍速度を拒み援軍を待たなければならないのだ」

「敵軍の位置をお聞きしても」

「斥候の話では二、三日といったところだ」

「それではあまり細かい仕掛けは作れませんができる限りのことを致しましょう」

不眠不休で砦という名の陣地構築を作成するのであった。

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