二話
主であるウィリアムが眠りについてから数年はマキート王国からの呼び出しがあったが主は体調が優れないと断っていたらここに訪ねてくるのは迷い込んだ冒険者ぐらいになっていた。
セバスチャンは屋敷の維持以外は思考に耽っていたが久しぶりに呼び鈴の音で主であるウィリアムの部屋を訪れた。
セバスチャンが部屋に足を踏み入れるとそこには僅かに魔力の変化した青年の年ぐらいのウィリアムが待っていた。
「おはようございます。ウィリアム様」
「やぁ、セバスチャン私が眠っている間に何か変わったことはあったかな」
「眠って数年はマキート王国から呼び出しがございましたがここ最近は変わったことはございません」
「マキート王国からの呼び出しか、セバスチャン鏡を取ってくれるかな」
セバスチャンは備え付けの棚から手鏡を取り手渡してくれる。
「ふむ、思った通りぐらいの年齢だな。実験は成功か」
「ウィリアム様、質問をよろしいでしょうか」
「なんだい」
「若返っているのは若返りの呪いだと思うのですが、あれは胎児にまで時間を遡り最終的には存在そのものを消滅させるものでございます」
「若返っているのはその通りだけど秘薬の中に途中で解呪できるように仕組んだ。後は長期間体内に状態固定の魔術を刻み込んだ」
「体内に状態固定の魔術をですか」
「まず状態固定の魔術だけど魔術適正が高くないとそもそも長期間刻みこむことができないし刻んでいる間はかなりの苦痛を味わうことになる。私は眠ることで回避をしたわけだけどね」
「なるほど、普通の人には不可能な方法ですね」
「とにかく外の情報が欲しいな、街に出てくるよ」
「かしこまりました」