百八十三話
応接室で待っているとギリアム卿と恰幅のよい身なりの整った男性がやってきた。
「ギリアム卿留守にしていてすみません」
「突然押し掛けたのはこちらですから。本日はウィリアム卿にお願いがあって参りました」
「ご用件をお伺いしても」
「こちらにいるランドルフはロッテムハルトでも有数の大商人でして」
「ギリアム様ここからは私が。マクロードの街に我が商会の支店を設ける許可とウィリアム様のお墨付きを頂きたいのです」
「御用商人になりたいと。独占の許可は出せませんがそれでも構わないなら許可をお出ししましょう
「元より独占できるとは思っていませんので。時にウィリアム様はアイテムバックを作れると聞いたのですがお譲りいただけないでしょうか」
「構いませんよ」
クランメンバーが増えた時に渡すために確保していた分を五個程収納魔法から取り出す。
「拝見してもよろしいでしょうか」
「ええ」
ランドルフは真面目な表情でマジックバックを鑑定している。
「これは素晴らしい品ですな。こちらをお受け取りください」
ランドルフは元から持っていたマジックバックから硬貨の詰まった袋を取り出して渡してくる。
マジックバックの代金としては多いように見えるが御用商人の認可のお礼も含まれているのだろう。
「話は変わりますがアーカディア帝国の様子はいかがですか」
「前回我が国に攻め入って軍に被害が出たことと魔物の増加による対処で手一杯のようです。当分他国にちょっかいを出す余裕はないでしょう」
「我が国はウィリアム卿の警告に従い軍備を増強していた地域は対処できている。警告を聞かなかった諸侯は隣接する諸侯に仮を作る形になったようだが概ね問題はないようです」
「私も長らくギリアム卿に迷惑をかける形になっていたのですかな」
「そういうわけでもないですね。軍は維持するだけで金食い虫ですから調練をかねて討伐は助かっていたのですよ。マクロードの街を拠点に定期的に調練を行いたいぐらいです」
「そういうことでしたら構いませんよ。クランメンバーが定期的に狩っているとはいえ手が足りていないのが実情ですから」
「お言葉に甘えさせていただきます」
その後も情報交換をした後ギリアム卿とランドルフは屋敷を辞していった。
執務室に戻ると山となっている書類を決裁した後官僚と話し合いを行い代官として官僚を繰り上げして執務を手伝わせるために人を雇うことで同意した。
ランドルフは予め支店を出す場所の候補を絞っていたらしく数日のうちに支店は稼働をはじめ不足していた商品の販売を開始していた。




