百七十九話
仲間達に王都での新規勧誘と育成を任せ各種ギルドからの派遣組とクランメンバーを引き連れマクロードの森に村を作るべく移動を開始した。
馬車での移動時間を利用して各種代表者と話し合いの元拡張性を持たせるため街の規模での開発が決まった。
建設予定地はロッテムハルトとアクセスがしやすい場所を選定した。
行程は順調に進みマクロードの森に到着した。
クランメンバーには作業の邪魔にならないように周辺の魔物の駆除を頼み建設予定地の木を伐採して重力魔法で木の根を排除して土魔法で土地を整地する。
抜いた木は魔法で乾燥させた後派遣されてきた大工達が家の素材として使うために加工を行う。
周囲を囲む壁は木を使うか土を使うかで悩んだが今回は土を利用することにした。
魔物の襲撃を考えれば畑も防壁の内部に作ることが望ましいため街としても広大な面積を持つことになった。
整地と防壁の作成が終わった後は生活用水を確保する為に複数の井戸を掘る。
水が湧き出してきたら崩れないように土魔法で井戸を補強する。
大工達に頼まれて木材を確保しているとギリアム卿が訪ねてきた。
「ギリアム卿お久しぶりです」
「久しいなウィリアム卿。国王陛下からウィリアム卿が村を作るからその支援をと言われていたのだが余計なお世話だったかな」
ギリアム卿はロッテムハルトの職人を引き連れてきていた。
「人手はいくらあっても助かりますから。現在いる職人と共同で作業をしてくださると助かります」
職人達は挨拶もそこそこに作業中の職人の元へ向かい建設作業に参加する。
ロッテムハルトの職人はマジックバックに必要だと思われる建材も用意していたようでそれらも使いながら建設作業は急ピッチで進んでいく。
「ギリアム卿。街の復興のほうはいかがですか」
「街の復旧は無事に完了しましたよ。ただあの襲撃で親を亡くした子供なんかも増えていて犯罪行為に走る者も少なくありません」
「生きていくには仕方ないのでしょうが痛ましいことですね。時にギリアム卿見ての通り広大な街を作っていますが住民が足りていません。困窮に喘ぐ人々をこちらで受け入れられればと思うのですが」
「そういってもらえると助かります。ロッテムハルトに戻り次第手配いたしましょう」
ギリアム卿の表情は明るい。
何とかしたいと思っていても有効な手が打てず頭痛の種だったのだろう。
移民してくる人達も新たな環境で戸惑うだろうが生きていく為に馴染んでもらいたいものだ。




