百六十五話
精神的疲労も馬鹿には出来ないのでダンジョンから帰還することにした。
冒険者ギルドに向かって成果物である魔物の買取をお願いしメンバーの昇格申請を行う。
買取は量が多すぎて途中でストップがかかったがかなりの額を受け取ることになった。
人数が多いので昇格の手続きに時間はかかったが無事に完了した。
野営地に戻ると残ったメンバーも無事試験を突破して時間を有効に使うために近隣の森に出かけ魔物の討伐と薬草の採取を行っていたようだ。
しばらく休養ということでメンバーにお金を渡すと早速街に買い物に出かける者と休息を取ることにしたメンバーに別れた。
ゆっくりとしていようと思ったら向上心の溢れるメンバーにせがまれ幻術魔法でランクの高い魔物を再現し訓練を施すことになった。
ミリアーヌとカタリーナも魔法を教えて欲しいと頼まれ丁寧に教えている。
実戦で詠唱を唱えるのは動きを止めることになり危険な為メンバーには詠唱魔法ではなく無詠唱魔法を教えるようにしている。
夕方頃派遣されている王国軍の兵士が訪れ王国軍の野営地を訪れた。
指揮官用の幕舎に通され指揮官と対面する。
「ウィリアム卿。お呼びだてして申し訳ありません」
「お気になさらずにご用件はなんでしょうか」
「領主軍はウィリアム卿のおかげで立て直すことができたので我々も間引きを実施するかどうかで意見が分かれていましてダンジョン内の様子をお聞きしたいと思いまして」
「一層を見ただけですが魔物の宝庫ですね。群れをなす魔物は集落を形成しているものもありました」
「そうですか。スタンビードをいつ起こしてもおかしくない状態ということですね」
その後も指揮官との会話は続き情報を共有していく。
「本日はありがとうございました」
「お互い頑張りましょう」
幕舎を後にして野営地に戻ると辺りはすっかり暗くなっていた。
丁度御飯の時間のようで美味しそうな匂いが立ち込めている。
料理を受け取り仲間達の元へと向かうと楽しそうに会話をしている。
こちらに気付いた皆は口々にお帰りなさいと言ってくれる。
「なんのお話だったんですか」
「ダンジョン内の情報が欲しかったようです」
王国軍の指揮官と共有した内容を仲間達とも共有する。
「あの様子だと王国軍が間引きの為にダンジョンに入ることになるでしょう」
「本来ダンジョンに入っていた冒険者はどうしてるのですか」
「魔物の数が多すぎて危険度が高いとほとんどの冒険者は立ち入らなくなっているようですね」




